第26回
認知症にならない方法1
認知症は高齢者が増えれば増えるほど増えていきます。
妙な言い方ですが、
長生きすればするほど認知症にかかりやすくなるのです。
10年以上前なら認知症の予防策はほとんどなかったのですが、
ここ10年間でいろいろな研究が進み、
認知症にどんな人がなりやすいのかもわかってきました。
もちろん遺伝的な要素もあります、
ある家系に認知症の患者さんが一人いれば、
もう一人認知症が発症する可能性は3.5倍くらいです。
遺伝子の異常もいくつか見つかっていますが、
認知症の遺伝子を持っていても
必ず認知症を発症するわけではないのです。
つまりなりやすさ(遺伝子)があっても、
環境因子(食事、運動、考え方、頭の使い方など)の影響で
発症していくのです。
ということは、環境を改善することで、
認知症が防げるということです。
いまや認知症は生活習慣病と言われ始めているのです。
一番最初にやるべきことは禁煙です。
喫煙者は認知症になりやすいことがわかっています。
喫煙は脳梗塞やくも膜下出血の危険因子でもあります。
認知症が心配ならまずは禁煙です。
喫煙というとすぐにガンとの関係と思ってしまいますが、
認知症の発症に影響するのです。
以前は喫煙者に認知症が少ないという調査もありましたが、
現在では否定されています。
喫煙者は、たばこを吸わない人に比べて
認知症になる確率が50%高くなります。
喫煙によって2.3年、
認知症の遺伝子を持つ人は3.0年早く
認知症を発症することがわかっています。
数年の違いと思うかもしれませんが、
例えば70歳と73歳では、3年間健康な時期があるのですから、
高齢になってからのそういった日々は、
想像以上に大きな意味があります。
からだに悪いことがわかっていてもやめられないというのは、
結局喫煙がいかに健康を害するか
という知識がないということでしょう。
楽観的にまあ、自分は大丈夫だという発想では
病気は防げないのです。 |