第80回
同窓会で記憶を刺激
子供のころや青春時代を一緒に過ごしたというのは、
歳を取るにつれ、
非常に重要な意味があったのだと気がつくものです。
小学校時代の同窓会などは、
何十年ぶりの再会ですから、
脳にとっては非常に刺激的です。
旧友に会うことで、
自分が忘れていた記憶をたぐり寄せることができますし、
自分がすっかり忘れていたことを、
友人がしっかり記憶してくれたりするので、
あいまいになっていた過去の記憶の断片が、
つながるような気持ちになります。
子供の頃の記憶は忘れないものと思いますが、
実は非常に曖昧なもので、
思い出すたびに変化しているのです。
また、旧友に会って話をすると、
どんどん記憶が鮮明になってきます。
いかに普段、脳の中に多くの記憶をしまい込んで、
使っていないかを感じることでしょう。
「ど忘れ」と感じるのは、
知っていると思っても結構使っていない記憶だったりするのです。
同窓会はそんな“ど忘れ脳”をしっかり刺激してくれます。
それに初恋の人に会ったりすれば、ドキドキしますね。
記憶に関係する脳の器官は
そういったドキドキする刺激で元気になり、
記憶力もアップすることが分かっています。
同窓会では、若い時に戻ることができます。
その時間的な体験は、単に思い出すというだけではなく、
体験に近いものになるはずです。
同窓会へ行くと元気になって帰ってくるのは、
脳が十分に刺激された結果なのです。
私たちは時間の大きな流れの中で生きています。
しかし、それを普段はあまり感じることはありません。
懐かしい仲間に会うと、
昔の顔と今の顔を比較しますから、
そこで時間を意識することになります。
自分も長い間生きてきたのだとはっきり自覚できるでしょう。
それは記憶を思い出すというだけでなく、
時間を意識することになるのです。
大きな時間の流れの中で自分がいまどの辺にいるのか、
それを知るだけでも同窓会は意味があるのです。 |