第90回
同じ道を歩かない
何か考えごとをしていても、
家から駅まで気が付いたら着いていた
ということはないでしょうか。
毎日通っている道は、意識しないでも
目的のところまでたどり着けます。
それは脳の中に地図ができあがっていて、
無意識でも歩くことができるからです。
まったく見知らぬ場所へ行けば、
駅や目標の建物がどこにあるのか、
意識して歩かねばなりません。
その意識して歩くことが、
脳の中に地図を作っていくことになります。
だからいつもの道だけでなく、
ちょっと早めに起きて、いつもと違う道を歩いてみましょう。
新しい発見がありますし、
方向を考えて歩くようになります。
これで右脳を十分に刺激できるはずです。
それに慣れたら、今度はひとつ手前の駅で降りて、
見知らぬ駅周辺を散策してみましょう。
街歩きの面白さは、予測できない面白さですが、
道に迷うことに意味があります。
そこからどうやって駅に戻るか、考える必要があるからです。
人間はどこかに無理がかからないと、
懸命に考えるということをせずに、
いつもの思考回路を使おうとしてしまうものです。
どうしても、そこで考える必要があるように
自分を追いつめることで、
いつもと違う発想も出てくるものです。
迷うことは、その解決策を考える非常にいい方法なのです。
人間は本来、獲物を求めて広い空間をさまよい、
また自分のすみかに戻ってくる必要がありました。
だから空間的な認識力は優れていたはずですが、
都市はその人間の空間的な能力がなくても
よくなってしまいました。
それは地図があり、GPSがあるからです。
それを見て戻ればいいわけですから、
ずいぶんと、人間の脳も楽をするようになっているのです。
時には地図も携帯のGPSを使わず、
自分のカンだけで、街をさまよってみるべきなのです。 |