米山公啓  脳とからだの健康方程式

今日から変えること

第118回
治せるぼけ 2

「頭を打ったあと記憶障害が起きてきた」
歩き方がおかしいとか、もの忘れがひどくなった、
手足が動きにくいなどの症状が、
頭を打ったあと数週から数カ月後に起きてくることがあります。
これは慢性硬膜下血腫と呼ばれるものが原因です。

硬膜と呼ばれる脳を包んでいる膜と
脳の間にじわじわと出血が起こって血液の塊が出来た状態を
慢性硬膜下血腫と呼びます。
とくに頭を打ったことがなくても、
起きることがあります。
中高年者あるいは酒好きな男性に多い傾向があります。

診断はCTかMRIを撮れば比較的簡単にできますが、
頭痛やなんとなく動きがゆっくりになってきた
という漠然とした症状のときもあり、
医者が慢性硬膜下血腫を疑わないと、
見逃してしまう危険のある病気です。

だからこそ、もの忘れがひどくなって
すぐに認知症と診断をしないで、
認知症と同じような症状を示す病気を
除外しないければいけないのです。

この状態を長い期間放っておくと、
症状が改善しなくなることもありますが、
普通は、血腫を除去する簡単な手術をすると、
驚くほどよくなってしまいます。
この手術は輸血の必要もない、
30分くらいの手術で終わってしまいます。

慢性硬膜下血腫が小さい時は、自然治癒もあり得ますが、
症状が進行しているときは、手術で改善の期待ができます。
手術自体で脳をさわることはありませんし、
局所麻酔だけで手術ができます。だから高齢であっても、
状態があまりよくなくても、手術は可能です。

診断は簡単ですし、手術も難しくありません。
最大の問題は、慢性硬膜下血腫という病気であるかどうか、
医者が疑うかどうかなのです。
もの忘れ、手足が動かしずらいなどの症状が出てきたら、
まずはCTかMRIを撮ってみましょう。


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2010年11月12日(金)

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