米山公啓  脳とからだの健康方程式

今日から変えること

第119回
内科医が見落としやすい治せるぼけ

病気の中には、症状が典型的でない病気があります。
その代表が甲状腺機能低下症です。
甲状腺のホルモンが少なくなるので、
その影響が様々な形ででてきます。

それには個人差があって、
医学の教科書のような患者さんが少ないのです。
そのために、内科医が見落としてしまう病気として有名なのです。

さらにその症状の中には、
認知症と同じような症状があるので、
認知症の診断のときには、
必ず甲状腺のホルモンを調べる必要があります。

この検査は開業医でも簡単にできる検査で、
採血するだけでできます。
問題は、甲状腺機能低下症と疑わなければ、
診断がつかないということです。

症状としては、元気がない、
疲れやすい、寒がり、体重増加、食欲欲低下、便秘などです。
つまりこの病気に特徴的な
症状ではないことが診断を難しくします。
他には、記憶力低下、集中力低下、
動作がゆっくりになるので、
一見、認知症と思われてしまうのです。

下肢にむくみが出ることが多いのですが、
これも他の病気でも見られるので特徴的ではないのです。

血液検査では、総コレステロール上昇、CPKの上昇などで、
やはり甲状腺のホルモンを調べないと診断はつきません。

治療としては甲状腺ホルモンを補給すれば治るので、
治療自体は難しくありません。

認知症ではないかと疑ったときには、
治らない病気と思ってしまいがちですが、
基本はこういった他の原因で
認知症の症状を出す病気を除外しておくことです。

そのためにはやはり、
全身のチェックと血液検査をやるべきなのです。

甲状腺ホルモンを補給すると、
驚くほど症状が改善していきます。
病気というのは、初めから病気を限定しないで、
広く考えていくことが
いかに大切か教えてくれる病気でもあるのです。





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2010年11月19日(金)

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