米山公啓  脳とからだの健康方程式

今日から変えること

第120回
うつ病

SSRIという脳の中の
セロトニンを増やす薬が使えるようになって、
お年寄りのうつ病が非常にやりやすくなりました。

高齢者のうつ病は
認知症の初期との区別がつかないことがあります。
どちらも意欲の低下やもの忘れ、
動作緩慢が現れるからです。

うつ病であれば、意欲が低下して、
認知症のテストができないので、点数が低くなってしまい、
認知症と間違えてしまうことがあります。

また高齢者のうつ病は、身体症状が主体のことが多く、
典型的な症状でないことがあります。
つまり、めまい、腹痛、手足のしびれ、腰痛などです。

こういった症状で外来受診すると、
耳鼻科や整形外科の外来に回されてしまい、
いろいろな薬をもらうのですが
ちょっともよくならないということが起きます。
次第に医療に対して不信感も強くなるので、
治療が難しくなります。

内科医であってもそういった身体症状に
さらにもの忘れや動作が緩慢ということになると、
まさに認知症と同じに見えてしまうのです。
そんな場合は、SSRIを診断的に使うことがあります。

うつ病であれば、飲み始めて2週間も経過していくると、
まったく別人のように元気になることが多いのです。
逆にSSRIが画期的に効かなければ、
認知症の可能性が高くなってきます。

さらに難しいのは、
認知症の初期症状がうつ病で始まることもあります。
こうなってくると、
うつ病かどうかの診断がつかないまま経過して、
途中から認知症の症状が強くなって、
診断がはっきりすることもあります。

やはりここで重要なことは、
同じ医者が経過を観察していく必要があるのです。
高齢者のうつ病は専門家が診ても
見逃してしまうことがあるのです。





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2010年11月22日(月)

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