米山公啓  脳とからだの健康方程式

今日から変えること

第122回
貧血の食事療法は意味があるか

健康診断を受けて、
貧血があると指摘されると、その中で多いのは鉄欠乏性貧血です。

貧血の治療というと、
ほうれん草やレバーのような鉄分の多い食品を摂りましょう
ということになります。

ところが、どのぐらいの鉄分が治療に必要かというと、
1日に鉄(Fe)として100〜200mgくらいです。

1日当たりの食事に含まれる鉄分量は、10mgくらいで、
さらに吸収量となると1mg/dayくらいです。
貧血の治療イコール鉄分の多い食事という考え方では、
実際には治療できないのです。
このことをあまり問題にしてきませんでした。

「豚レバーには100g中には鉄が13mg含まれているので、
100g食べれば治療ができる」
というように思われてしまいますが、
実際には吸収率の問題があるので、
1s食べないといけないことになります。
つまり食事で鉄欠乏性貧血の治療を行っていくことは、
ほとんど不可能だというほうが正しいのです。

食品に含まれる量と実際に吸収される量はかなり違うことを、
曖昧にされて、すぐに食事量ということになりがちです。

また食事療法でやるのでいいですと言って、
きちんと薬を飲まないで終わってしまう人も結構います。

鉄欠乏性貧血の治療の基本は、
やはり鉄剤による薬の治療です。

以前はお茶と一緒に飲んではいけないと言われてきましたが、
現在では、貧血の人は吸収率が上がっているので、
お茶によってそれが妨げられることは
わずかな量だとわかっています。

そういったことより、
なるべく日常の食生活を変えることなく、
きちんと鉄剤を飲み続けること、
定期的に血液検査をすることが大切なのです。

科学的な目で、
医学を見直していくべきことが多いようです。





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2010年12月3日(金)

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