中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第5回
通貨と株価の切っても切れない関係

ここまで人民元の切り上げが中国経済に
あたえる影響についてお話してきましたが、
通貨の切り上げは株式市場にどのような影響を与えるのでしょうか?
参考までに米国、日本、台湾を例に
為替レートの動向と株式市場の変化について
その軌跡を検証してみましょう。

(1)米国:1980年から2000年にかけて政府がとった
「強いドル政策」により、
米ドルの為替レートは右肩上がりをキープ。
結果、世界中のリスクマネーが米国に集中し、
経済も安定成長を遂げたことから、
ダウ平均は2000ポイントから1万ポイントへ上昇しました。

(2)日本:1985年に「プラザ合意」が発表されてから、
日本円は急上昇。
為替レートは同年9月の1米ドル=240円から
87年12月には1米ドル=120円へ、2倍の値上がりとなりました。
日本政府は円レートの上昇からくる輸出メーカーの停滞、
経済への圧力を回避しようと、
財政支出や金利引下げなど緩和策を実施したため、
大量の余剰資金が市中に流入し、不動産価格や株価が急上昇。
東京マーケットの代表的指数である日経225は
86年初の1万3000ポイントから、89年末には3万9000ポイントへ、
約4年間で3倍も値を上げました。

(3)台湾:米国の圧力に屈するかたちで
台湾の中央銀行は1988年から徐々に台湾ドルの切り上げを敢行。
膨大な貿易黒字という背景もあり、
内外からホットマネーが大挙して流れ込んだ結果、
加権指数は85年7月の600ポイントを基点に、
88年9月には8870ポイントまで暴騰。
その後、一旦の調整を経て、
90年2月には1万3608ポイントの史上最高値を付けています。

経済や株式の構造が違うため、
日本や台湾のケースがそのまま中国に当てはまるとは限りませんが、
通貨の切り上げが株式市場に与える影響がいかに大きいか、
こうした事例からも分かるでしょう。


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2010年9月6日(月)

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
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