第6回
為替レート上昇が各セクターに与える影響(1)
通貨の切り上げは
上場企業の業績や株価にも大きな影響を与えますが、
一般的に輸入価格の低下などにより内需関連が潤う反面、
製品価格の上昇につながる輸出型製造業は不利になるとされます。
1985年2月から87年末にかけての日本円上昇時に、
東京マーケットで大きく値を上げたセクターをみると、
筆頭は航空、交通・運輸、不動産、電力・ガスなどとなっており、
次いで金融、金属、鉄鋼、印刷製紙、石油化学関連なども
インデックスを上回るパフォーマンスを示しました。
これらはすべて為替レートの上昇にともない、
1.原材料及び設備コストの低下、
2.手持ち円資産の価値上昇、
3.外貨債務などの圧縮による財務コストの軽減、
などの恩恵を受けたものです。
為替レートの変動が各セクターに与える影響を
以下に簡単にまとめました。
このサイトをご覧の方はとっくに理解されていると思いますが、
復習をかねてお読みください。
☆航空/外貨債務の圧縮で財務状況が改善
航空セクターは最も大きな恩恵を受けると予想されます。
為替レート上昇にともない外貨債務の縮小することに加え、
航空機、燃料などの購入価格も低下、
コストが大幅に軽減されることにあるためです。
☆電力/手持ち資産の価値上昇の恩恵を受ける
人民元で取引されるA株に影響はないですが、
米ドルや香港ドルなど外貨建てのB株、H株は
為替レート上昇により、資産価値が増大するため、
EPSなどが上方修正されます。
また、収入、コストなどのほとんどが人民元建ての電力企業は
為替レート変動のデメリットを受けません。
逆に手持ち資産の価値上昇などの恩恵を受けると予想されます。
 |
画像クリックで拡大表示します |
|