第7回
為替レート上昇が各セクターに与える影響(2)
☆不動産/期待されるリスクマネーの流入増
人民元の切り上げは不動産セクターを
新たな発展ステージに乗せることになるでしょう。
一般的に通貨の切り上げはその国の経済が好調な時に行われ、
リターンやチャンスの拡大から
海外のリスクマネーが大挙して流入しますが、
その多くは流動性の高い株式や
不動産に押し寄せることになります。
中国の外貨規制はいまのところまだ厳しいですが、
外貨準備高が世界1位となり、貿易黒字も堅調に増加。
好景気を背景に個人の所得水準も大きく向上してきているため、
今後もより付加価値の高い不動産需要などが刺激されるでしょう。
これは日本や台湾の歴史を見ても明らかなことです。
1985年のプラザ合意後、89年までに東京と大阪の土地価格は
それぞれ3.3倍、2.7倍に上昇。
86〜89年にかけて台北の住宅価格も4倍近く跳ね上がりました。
融資規制など、昨今の中央政府による金融引き締め策は
不動産セクターに不利との指摘もありますが、
政府の規制策の目的は乱開発防止と
無秩序な物件価格高騰の抑制にあるため、
融資制限などにより実力のない中小業社の淘汰が進むことは
中長期的に見れば上場企業など大手に有利に働きます。
近い将来の導入が期待されているREITなども
新たな資金調達の道を開くことになります。
昨今の関連株の株価調整は
逆に優良銘柄を仕込む好機かもしれません。
☆交通運輸/独占事業の強みを発揮
港湾、高速道路、海上運輸などの企業が保有する資産は
基本的に人民元で計算されるため、
通貨の切り上げはプラスとなります。
ただ、国際輸送の多い海運会社の収入のほとんどは
米ドル建てとなるため、為替レートの切り上げで
目減りする可能性が高くなります。
人民元の上昇がこのセクターに与えるマイナス影響は大きい順に
1.海運、2.港湾、3.高速道路となりますが、
港湾と高速道路に関しては
もともと政府主導型の半独占事業であるため、
デメリットは少ないと予想されます。
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