第9回
為替レート上昇が各セクターに与える影響(4)
☆非鉄金属/海外製品との競合が激化
中国におけるアルミ、銅などの非鉄金属の製品価格は
国際価格とほぼリンク。
人民元の切り上げは輸入製品の価格低下を促すため、
国内メーカーには逆風となりますが、石炭などと同様、
非金属の価格は基本的に需給バランスで決まりますので、
存外に影響は少ないとの見方もあります。
☆石油関連/製品別に影響が異なる点に注意
このセクターは生産する製品によって影響が異なります。
1.原油:基本的に国際価格にリンクする傾向にありますが、
中国の国内価格は政府の価格統制などにより、
海外より低く押さえられているため、
人民元の切り上げがなされても、
価格の下押し圧力は少ないと予想されます。
2.精製:これも基準価格が中央政府によって決められています。
国際価格などと比べると低いものの、
このところのマイカーブームなどによって需要が増加傾向。
人民元切り上げは原材料コストの軽減につながるため、
利益拡大が望めます。
3.石油化学:製品価格は国際価格に沿って形成されるため、
人民元レートの上昇による為替差損で、
収益が圧迫される可能性があります。
ただ、上場企業の多くは原材料生産も手掛けているため、
実際の影響は限定的なものになりそうです。
改革開放初期の1981年における人民元の「内部決済レート」は
1米ドル=2.8元でしたが、経済成長の原動力として
輸出産業が発達するとの歩を合わせるように、
元は切り下がって行き、
94年には8.28元にほぼ固定されるようになりました。
13年にわたって中国は
為替レートを断続的に引き下げてきたわけですから、
これから起こる人民元の上昇も
これと同じくらいのペースでじっくり進んでいくのかもしれません。
いずれにせよ、今後も人民元の切り上げが継続するなら、
人民元の先高感を期待して
中国に資金流入が始まる可能性が高まりますから、
中国株全体にとって大きなプラスとなるはずです。
長いスパンでみれば、
人民元がまだ安価な水準に置かれているうちに
中国株に投資しておくのは良い選択なのではないかと思います。
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