中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第12回
目覚ましい中国自動車メーカーのクオリティーアップ

同じようなテーマが続いて恐縮ですが、
今回も中国の自動車のお話をもう少し。

仕事柄、よく出張に出る関係で、
行く先々でいろいろな車に乗せてもらっていますが、
最近、目を見張るのが
中国の自動車メーカーのクオリティーアップです。

中国の自動車メーカーは100社以上あるといわれていますが、
一汽、上海、東風などビック3の品質は顕著に上がり始めています。
また、『ボルボ』の買収で話題となった『吉利汽車』(00175)や
『BYD』(01211)など、
民営メーカーの内装や乗り心地はいま一歩で、
トップの3社と比べると遅れているといわざるを得ません。
しかし、彼らには豊富な資金があるため、
必要なノウハウや技術を買収し、
クオリティーの差を埋めていくことができます。
『BYD』などは最近、
日本の金型大手『オギハラ』を買収しましたが、
こういった有能なサプライヤー狩りは今後も加速していきそうです。

某大手系列の内装メーカーに務める友人の話によると、
ドアトリム、ダッシュボードなどの品質は
1995年くらいの日本車のレベルに近いとのことですが、
この15年という時差は
日本メーカーにとって安心できないものだといいます。
なにしろ、中国メーカーの発展のスピードは
これまでの常識を覆すほど速い。
技術をお金で買って彼我の差をどんどん埋めてきているからです。

こうした中国の自動車メーカーの躍進の背後には
中央政府の支援があります。

2009年8月に公布された「自動車産業調整振興計画」によると、
同年の自動車販売台数を
1000万台の大台に乗せる(達成済み)とされているほか、

(1)生産販売台数200万台超の大型企業グループ2−3社、
100万台超の企業グループ4−5社を形成。
市場シェアの90%以上を占める企業グループの総数を
現在の14社から10社以下に減らす、
(2)乗用車では自国(純国産)ブランドのシェアを40%以上、
中型乗用車では30%以上とする。
自国ブランド車戦略を展開し、
技術開発、政府調達、融資ルートなどの面で相応の政策を策定する、
(3)自動車の技術進歩、
技術改良のための専門基金に対する国庫からの追加投資。
今後3年間で100億元支出する、

などとされています。


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2010年10月1日(金)

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
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