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         第15回 
          需要回復を受けて元気を取り戻した航空業界(2) 
        (3)タイトな需給バランス: 
          中国民用航空局が厳しく管理していることもあり、 
          2010年における中国の航空機純増数は191機、 
          座席数の増加率は13%増にとどまると予想され、 
          客運量の増加に比べて低い水準にあるため、 
          需給バランスはタイトな状況が続く見通しです。 
          こうしたことを受けて、 
          チケット価格もこのところ右肩上がりに推移しており国内、 
          国際の平均価格は直近のピークである 
          2007年のレベルを抜くところまで値上がりしてきています。 
        (4)貨物需要の増加: 
          中国の航空貨物の運輸量は2009年1月を底に増加に転じています。 
          過去23年におけるデータによると、 
          航空貨物量とGDPの係数(弾力性)の平均は 
          1.6となっているため、 
          今年のGDP成長率が9%に達すれば 
          航空貨物量が14.5%増加するとされます。 
        (5)人民元の切り上げ: 
          2010年6月19日、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は、 
          「人民元為替レートの弾力性を強める」 
          とする声明を発表しましたが、 
          航空セクターは最も大きな恩恵を受けると予想されます。 
          為替レート上昇にともない外貨債務の縮小することに加え、 
          航空機、燃料などの購入価格も低下、 
          コストが大幅に軽減されることになるためです。 
          仮に今年人民元の為替レートが5%上昇すると、 
          『中国国際航空』『東方航空』『南方航空』の純利益が 
          それぞれ22%、117%、72%増加すると 
          試算するアナリストもいます。 
        ジェット燃料価格の指標となる 
          シンガポールのケロシン価格は2010年上半期に42.3%上昇、 
          その平均価格は87米ドル/バレルとなりましたが、 
          中国のそれは国際価格より低く、 
          また値上がりの分の約80%を 
          サーチャージとして利用客に転化できるため、 
          短期間で燃料価格が急伸しない限り、 
          航空会社の収益に与える影響は限定的なものになりそうです。 
          そのほかのリスクとしては 
          路線網の拡充にともなう高速鉄道との 
          競争激化などが挙げられますが、 
          前で述べたように航空セクターの発展を促す要素は多く、 
          関連株の業績も今年大きく伸長すると予想されます。 
        参考銘柄:『東方航空』(00670)、 
          『中国国際航空』(00753)、『南方航空』(01055) 
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