中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第16回
セメント株の値動きは不動産株とリンク

出そろった中間決算の内容などをみながら、
各業界の動向などを改めて見直しているこの頃ですが、
今回はセメントセクターについて少しお話しましょう。

中国のセメント業界の基本的需給バランスは
ややルーズな状態で推移しています。
少し古いデータで恐縮ですが、
今年1−5月における中国のセメント消費量は
前年同期比18.96%増の6億7500万トンに達しましたが、
地域ごとの生産量をみると、
華北が同18.8%増の6955万5000トン、
華東が同12.5%増の2億4000万トン、
中南が同21.6%増の1億8600万トン、
西南が37.1%増の1億100万トンと、
バラツキがあるもののおおむね需要を上回る伸びをみせています。

供給過多によるセメント価格の値崩れを恐れた中央政府は
2009年9月に新規生産プラントの建設禁止や
老朽化プラントの閉鎖などを盛り込んだ規制策を発表し、
生産力の抑制に乗り出しましたが、
多くのメーカーの新プラントはすでに生産を開始。
加えて今年に入り不動産業界に対する
一連の規制策が実施されたことを受け、
同業界の建設スピードが鈍化したことから、
需要の縮小がさらに進んだかたちです。

今後の見通しですが、徐々にですが持ち直しが期待できそうです。
2010年におけるトータルのセメント需要量は
前年同期比12%の18億2100万トンに達する見通しでが、
政府の主導により
老朽化した中小プラントの閉鎖が加速していることもあり、
中国のセメント生産量は11年を境に減少に向かうとされ、
需給バランスも今後、徐々にタイトに。
これを反映しセメント価格も今年のQ4(第4四半期)を境に
上向きに転じると予想されます。
生産コストの多くをしめる石炭価格も
このところ落ち着いていることから、
セメントメーカーの売上高総利益率なども安定しそうです。

需要の増減を図る目安として
不動産業界の動向がよく引き合いにだされることから、
セメント株は不動産株の動向と
リンクする傾向が強くなっていますが、
中央政府の規制策もほぼ一巡し、不動産業界に対する圧力も今後、
減少するとみられることから、
セメント株の下落にも歯止めが掛かりそうです。
関連銘柄の業績見通しなどを参考にしつつ、
軟調相場を利用した「押し目」を徹底すれば、
中長期的に大きなリターンが得られるかも知れませんね。

参考銘柄:『海螺セメント』(00914)、『中国建材』(03323)


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2010年10月15日(金)

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