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         第17回 
          産業集中度の低い中国の自動車業界 
        中国自動車工業協会の発表によると、 
          2010年上半期の自動車生産量は 
          前年比48.8%増の893万台となっていますが、 
          前月比では月ごとにその伸び率が鈍化しています。 
          3月の生産量が170万台の史上最高を更新してから、 
          4月は前月比8.2%減の156万台、 
          5月は前月比9.6%減の141万台、 
          6月は前月比1.4%減の139万台と徐々に下がってきています。 
          今後の見通しはどうなっているのでしょうか? 
        WTO(世界貿易機構)への加盟を契機に、 
          産業障壁が低くなったこと受け、 
          内外のメーカーが相次いで中国の自動車市場へ進出。 
          100社を超えるさまざまなメーカーが乱立したため、 
          その産業集中度は低いのが現状です。 
          『上海VW』『一汽VW』『上海GM』『一汽豊田』 
          『広州本田』『東風汽車集団』(00489)など 
          販売台数上位10社の市場シェアは約73%と、 
          ドイツ、アメリカ、日本などといった先進国と比べて 
          低い水準にとどまっています。 
        こうした状況を改善するため、中央政府は2009年に 
          「自動車産業調整振興計画」を発表。 
          同計画では、研究開発能力の向上、独自ブランドの確立、 
          業界再編をはじめとする目標が掲げられています。 
        「自動車産業調整振興計画」の骨子 
          1)生産販売台数200万台超の大型企業グループ2−3社、 
          100万台超の企業グループ4−5社を形成。 
          市場シェアの90%以上を占める企業グループの総数を 
          現在の14社から10社以下に減らす。 
          (2)乗用車では自国(純国産)ブランドのシェアを40%以上、 
          中型乗用車では30%以上とする。 
          自国ブランド車戦略を展開し、技術開発、政府調達、 
          融資ルートなどの面で相応の政策を策定する。 
          (3)自動車の技術進歩、技術改良のための 
          専門基金に対する国庫からの追加投資。 
          今後3年間で100億元支出する。 
        ただ、こうしたメーカーサイドの問題は別として、 
          中国の自動車需要が拡大傾向にあるのは事実です。 
          2009年の自動車販売台数は、 
          金融危機の影響の他の国は軒並み前年実績を割り込むなか、 
          前年同期比46%増の1364万4800台をマーク、 
          米国を抜いて世界最大の自動車販売国へ躍進しました。 
          「汽車下郷」「以旧換新」などの補助金制度や減税措置など、 
          中央政府の優遇策が奏功したかたちです。 
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