中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第19回
崩れる金価格と米ドルとの逆相関関係

今年に入って主要国の株式市場はどこもパッとしませんが、
金価格は相変わらず高値を維持していますね。

金価格は歴史的な大調整を経て、2009年第4四半期から大きく反発。
1000米ドル(1オンス当たり、以下同)を超えてからは
その上昇にさらに弾みが付き、
現在は1300米ドル前を超えてきています。
今年上半期の平均価格は1150米ドルでした。
アメリカの金融危機に端を発した景気後退を打開するため、
中央政府が赤字国債発行などの積極的財政出動を続けた結果、
アメリカ、日本、ドイツ、イタリア、フランス、カナダ、
イギリスなど、7大工業国の財政状況が急激に悪化。
国家に対する信用不安が金需要を増大させたかたちです。

また、金価格と米ドルがリンクするように上昇しているのも
今年前半の特徴でした。
一般的にこの二つは逆相関関係
(金が上昇すると米ドルが下落、金が下落すると米ドルが上昇)
にあるのですが、
信用不安が増すヨーロッパ市場からの逃避先として
金ともに米ドルへリスクマネーが流れたようです。
年初から6月25日時点における今年の上昇率は金が14.5%、
ドルインデックス(米ドルに対する主要6通貨の為替レートを
その取引高に応じて加重平均して計算されたもの)が
9.6%となっています。

今後の金価格は以下の要素から今後も高水準を維持。
主要各国が低金利政策を継続するなか
リスクマネーの流動性が高まっているので、
ボラティリティは高まりそうですが、
以下の諸点から今年の平均価格は
1200米ドル前後に達すると予想されています。

(1)需要構造の変化:
WGC(世界黄金協会)の統計によると、
今年の第1四半期における金需要量は
前年同期比25%減の760トンとなりましたが、
金現物の保有を伴ったETF(上場投信)の増加などにより、
今後、需要量はふたたび増加。
その価格を押し上げるとみられます。
また、今後の価格の高騰を見越して
「回収金」「再生金」などのリサイクル需要も増えていますが、
今年第1四半期におけるその供給量は949トンと
前年同期比の1250トンから大きく減少。
こうしたことも短期的な金価格を支える要因となりそうです。

(次回に続く)


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2010年10月25日(月)

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