第20回
金銘柄を選択する際のポイント
(2)ヨーロッパ諸国の債務危機:
ギリシャに端を発したヨーロッパ諸国の財政危機問題は
現在に至っても完全に解決されていないため、
PIIGS国家(ポルトガル、イタリア、アイルランド、
ギリシャ、スペインの5カ国)などの
クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッドは
こうした信用不安を反映し今年に入って上昇傾向。
これにリンクするかたちで金価格も値を上げています。
(3)中央銀行の備蓄量の増加:
欧州の19の中央銀行が署名し、2009年9月に発効した
第3次CBGA(中央銀行金協定)によると、
年間400トンまでの金売却が認められていますが、
各国ともに金準備の大規模売却には消極的で、
逆に外貨準備の多様化を目的に、金を購入する傾向にあります。
また、中国、インドなどに続き
ロシアの中央銀行も保有量を増加させているため、
当面、需給バランスはタイトな状況が続くと予想されます。
香港の証券アナリストなどの意見を聞くと、
「ゼロ金利の解除など、
アメリカが景気回復を見据えた通常時の金融政策へ方針転換する
出口戦略を取り始める2011年末まで、
金価格は高水準で推移する可能性が高い」
という見方が多いため、
貴金属セクターはいましばらく強気にみてよさそうですが、
今年上半期の株価パフォーマンスをみると、
『招金鉱業』(01818)が20%近く上昇した反面、
『紫金鉱業』(02899)が20%下落するなど、
個別で大きな差が出てきていることには注意が必要でしょう。
金販売の売上比率が97%と高い『招金鉱業』の株価は
昨今の金価格の上昇を素直に反映。
反対に銅の生産量が増加している『紫金鉱業』は
銅価格の軟調に足を引っ張られて、株価が伸び悩んだかたち。
今年7月に福建省上杭県の自社銅山で起きた
銅含有酸性廃液の流出事故の損失が4億元と予想されることも、
投資家の嫌気売りを誘った一因のようです。
銘柄を選択の際は、良質の金鉱山資産を多く保有し、
その価格動向に対する業績の敏感度が高いものを
選ぶようにしてください。
参考銘柄:『招金鉱業』(01818)、『紫金鉱業』(02899)、
『霊宝黄金』(03330)
|