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         第21回 
          さまざまな要素に左右される非鉄金属の価格 
        貴金属に続いて、今週は非鉄金属セクターを探ってみましょう。 
          2010年上半期における非鉄金属の市場価格のボラティリティは 
          非常に大きくなりました。 
        SHFE(上海期貨交易所)の銅価格を例に取れば、 
          年初こそ不動産業界に対する政府の金融引締め策を受け、 
          5万1000元(1トン当たり、以下同)まで 
          落ち込む場面もありましたが、 
          4兆元の財政出動によるインフラ投資の効果で 
          固定投資額の増加率が増加すると、4月には6万3000元まで急上昇。 
          しかしその後、 
          ギリシャに端を発するヨーロッパ諸国の債務危機が浮上すると、 
          6月には5万元を切るところまで値を落としました。 
          アルミニウム、ニッケルなどの価格動向も程度の違いこそあれ、 
          ほぼ同様の曲線を描いています。 
        これまでは経済状況や需給バランスが 
          非鉄金属の価格を決定する大きな要因になっていましたが、 
          経済のグローバル化の加速とともに、 
          M1、M2などのマネーサプライに示される流動性や、 
          各国の財政・貨幣政策、為替などの要素にも、 
          その価格は敏感に反応するようになってきているので 
          注意が必要です。 
          各非鉄金属の見通しは以下のようになっていますので、 
          参考にしてください。 
        (1)銅:アメリカの住宅市場の回復が遅れるなか、 
          世界最大の銅消費国である中国の需給バランスが 
          価格動向を左右する大きな要因の一つとなっています。 
          SHFEの価格は先に述べた通り、 
          世界経済の動向や 
          北京政府の政策などにより大きく変動してきましたが、 
          その平均価格は5万2000−5万4000元のレンジでおおむね推移。 
          また、在庫量も今年に入り減少傾向あるとはいえ、 
          また10万トン以上の水準を維持しています。 
          引き締め策の影響で不動産など、 
          固定資産投資額の伸び率鈍化が予想されるなか、 
          短期的に銅価格が急上昇する可能性は少ないようです。 
          2010年の平均価格は5万2000元前後で落ち着きそうです。 
        (2)アルミニウム:基本的な需給バランスは依然、 
          ルーズな状況にあります。 
          LME(ロンドン金属取引所)の在庫は2009年を境に急増。 
          SFHEのそれも15万トン台の高水準で推移しており、 
          供給過多は少々、深刻です。 
          これにともない価格も低水準で推移しています。 
          2010−12年の平均価格はそれぞれ 
          1万6800元、1万7500元、1万8000元を予想。 
          各メーカーの平均生産コストは約1万5000元前後と見られたため、 
          赤字にはならないでしょうが、 
          当面、その収益は伸び悩みが続きそうです。 
        (次回に続く) 
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