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         第22回 
          用途に広がりをみせるモリブデン 
        (3)ニッケル:ニッケルはステンレスの性能を 
          更に向上させるための添加金属であるため、 
          その価格はステンレスの需給に大きく左右されます。 
          3月の販売台数が174万8000台以上に達するなど、 
          自動車業界の好調をなど受け、 
          中国におけるその価格は春先こそ50%以上値上がりしましたが、 
          その後は欧州国家の財政危機の影響で大きく値を崩しています。 
          自動車や家電製品の“下郷” 
          (農村部における普及促進のための補助金制度)効果もほぼ一巡し、 
          今後、ステンレス需要も安定するとみられることから、 
          2010−12年におけるニッケル価格の平均は 
          それぞれ15万元、15万3000元、14万5000元と予想されています。 
        (4)モリブデン:価格のボラティリティは一番高いですが、 
          長期的な展望は他の非鉄金属より優れているとされます。 
          モリブデン価格は国内鉄鋼生産の増大にともなって 
          上昇を続けていましたが、 
          米非鉄大手『フリーポート・マクモラン』など、 
          海外鉱山の開発による供給過剰懸念により2008年に急落。 
          ただ、中国やインドなど新興諸国の需要が経済回復とともに 
          ここにきて増加しているのも事実で、 
          その価格は2009年第2四半期から徐々に持ち直してきています。 
          モリブデンは耐熱や耐食性に優れるため 
          各種合金鋼の添加元素に利用されてきましたが、 
          剛性が高く電気伝導も良いことから、 
          最近では飛行機エンジンや液晶パネル、 
          ハイブリッドカーの電子基板、原子力発電のコンデンサ、 
          原子炉パイプなどにも使われるなど、 
          その用途は広がりをみせています。 
          香港に上場する4社の2010年における純利益の平均伸び率は 
          70%前後が予想されますが、 
          これまでも説明した通り、貴金属同様、 
          この業界の企業の株価は製品価格と基本的にリンクしますから、 
          購入を検討するなら 
          「押し目」のスタンスを崩さないほうが良いように思います。 
        参考銘柄:『江西銅業』(00358) 
          、『アルミニウムコープ』(02600)、 
          『洛陽欒川モリブデン』(03993)など。 
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