中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第27回
中国の薬品メーカーの収益は右肩上がり

今回は医薬品業界にスポットを当ててみましょう。
金融危機の影響などを受け、
2009年における全世界の医薬品市場の成長率は
2.5−3.5%のマイナスとなりましましたが、
中央政府のテコ入れ策や迅速な景気回復などから、
中国のそれは高成長を維持。
国家発展改革委員会(発改委)の統計によると、
同年の医薬工業の総生産額は
前年同期比21%増の9403億元。
今年の1−5月の伸び率も15.1%に達しています。

昨年4月に中央政府が
「本格的医療体制改革に関する意見」を発布して以後、
人力資源社会保障部(人保部)、衛生部、
国家発展改革委員会(発改委)など、
関係部門から数十件の政策が相次いで発表されましたが、
その内容の主旨を簡単にまとめると次のようになります。

(1)都市住民の医療保険改革と
   農村の合作医療制度の普及を加速する
(2)国家基本薬物制度を実施し、
   基本薬目録を制定、医薬品価格を引き下げる
(3)「医療保険目録」を新たに制定し、
   保険対象の比薬品を増加させる

過去5年間における中国の医薬品市場は年率14.6%の成長を遂げ、
世界平均の6.6%を大きく上回っていますが、
1人当たりの医療関係の年間支出は約600米ドルと、
イギリス、ドイツ、日本など
先進国の5分の1のレベルにとどまっているのが現状。
こうした状況を打破すべく
国務院は医療制度改革のために
今後3年間で約8500億元を支出すると発表。
改革は基本的な医療保険の適用範囲拡大、
地域診療所のネットワークの充実、公衆衛生の改善、
及び公立病院運営に関する試験的な改革の
実施を目指すとされています。

アメリカを除く先進国の医薬品支出に関する保険適用比率をみると、
日本などが80%以上となっているのに対し、
中国は42%と非常に低い水準にあるため、
今後、適用範囲が拡大するにつれ、薬品需要も増加。
政府の薬価基準の見直しには引き続き注意が必要ですが、
基本的に関連メーカーの収益は今後、
右肩上がりをキープしそうです。
このセクターの銘柄選択は次の点に注意してください。

(次回に続く)


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2010年11月22日(月)

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
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