中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第28回
薬品市場市規模は20年に米国を抜いて世界1位に

(1)潜在的発展余地は医療器材に軍配
前回で述べたように中国の医薬品業界の見通しは良好ですが、
今後の収益の伸びという観点からすると
医療機器メーカーにも注目です。
2010年における中国の医療機器市場の規模は
1200億元に達すると予想されていますが、
「欧州医療機器産業連合会」(Eucomed)などのデータによると、
中国の医療機器関連の年間支出額は医薬品の18.3%に過ぎず、
アメリカの48.0%はもちろん、世界平均の40.7%と比べても
かなり低位に置かれています。
経済成長にともなう生活水準の向上は、
医薬品とともに医療機器への要求、
需要増加を促す大きな要因に一つとなるでしょう。

(2)医薬品メーカーは大手、
それも“中薬”に強いところチョイス

中国の医薬品業界は
アメリカや日本など先進国と比べて産業集中度が低いため、
中央政府はかねてから大手国有企業を中心とした
業界再編を推奨してきた経緯がありますが、
今回の医療制度改革の加速で、
こうした動きにも拍車が掛かりそうです。
上海政府傘下の医療資産が
『上海医薬股フェン有限公司』に注入されたように、
国有資産監督管理委員会(国資委)などはすでに地方政府と協力し、
大手メーカーへの資産注入を開始しています。
この状況は流通業界も同じです。
また、企業(銘柄)を選択する場合、
できるだけ“中薬”(漢方)に
強みを持つところをチョイスしてください。
中央政府が中国独自の医療技術である中薬の普及、
発展に支援を行っているためです。
2008年末時点における65歳以上の高齢者が全人口に占める割合は
すでに8.3%に達しているほか、
中国の関係部門が
現在の年齢別の人口構成比などから割り出した予測によると、
今後、65歳以上の構成比は
年2.5%以上のペースで増加するのに対し、
人口全体の増加率はこれ以下となる見通しで、
20−25年後に中国の人口の老齢化問題は顕著に。
同時に医薬品や医療機器に対する需要が急増するとされます。

世界の製薬市場の動向をリサーチしている
『IMS Health』の予測によると、
膨大な人口と高い経済成長を背景に、
中国の薬品市場は2009−13年にかけて年20%以上のペースで拡大。
その規模は13年に日本を抜き、20年にはアメリカを抜いて
世界1位に躍り出るとされます。

参考銘柄:『邁瑞医療』(MR)、『広州薬業』(00874)、
『利君国際医薬』(02005)、『北京同仁堂科技』(01666)、
『国薬』(01099)など。


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2010年11月26日(金)

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