中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第29回
インフラ建設は鉄道>道路>港湾

アメリカの金融危機に端を発した経済の落ち込みを
最小限に食い止めるため、
中央政府がインフラ投資を軸とする
4兆元の景気刺激策をぶち上げて以来、
脚光を浴びている交通セクターですが、
鉄道、道路、港湾のうち、どの分野を得意とするかで、
その収益見通しは大きく変わってきそうです。

2009年に4兆元の景気刺激策が打ち出されて以後、
中国のインフラ投資は爆発的に増加。
同年の鉄道関連の固定資産投資額は前年比69.2%増の7013億元、
道路関連が同40.5%増の9669億元、
港湾・水路関連が同7.3%増の1060億元となっています。
インフラと投資額がこれほど短期間に増大した原因として、
中央政府の規制緩和も挙げられます。
2009年4月に国務院は各建設会社に対して
プロジェクトに対する自己資本比率の引き下げを通達。
道路、鉄道、都市整備などの自己資本比率は最低25%へ、
港湾建設の場合は30%まで引き下げられた。
資金繰りが楽になった建設会社の開発スピードが一気に加速したのは
当然と言えば当然です。

中央政府が景気の過熱を恐れて
銀行の新規融資を引き締めたこともあり、
今年に入り鉄道関連の投資額の伸び率は
18%前後に鈍化していますが、
“十二五計画”(第12次5カ年計画、2011−15年)において
インフラ投資は依然として
政府の重点項目(プロジェクト)であるため、
その投資額は中長期的に穏やかに増加していくと予想されます。

香港に上場する『中国中鉄』(00390)、『中国鉄建』(01186)、
『中国交通建設』(01800)、『中国南車』(01766)の
2010−12年における平均予想PER(株価収益率)は
それぞれ13.5倍、10.6倍、9.2倍と、株価にそれほど過熱感はなく、
国策による需要増に乗り、
その業績は今後も安定成長を遂げると予想されますが、
それぞれのインフラ事業の投資額伸び率などを比べると、
いまのところ鉄道>道路>港湾の順になりますので、
投資をする際は各部門の売上比率などを
よく調べる必要があるでしょう。

(次回に続く)


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2010年11月29日(月)

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