中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第30回
需要を上回る港湾・水路のキャパシティー

鉄道、道路、港湾・水路の事業環境と見通しは以下の通りです。

1.鉄道:鉄道部の予測によると、
2008−12年にかけて中国の鉄道の総延長は年8.4%のペースで伸び、
12年末までに11万キロメートル以上に達するとされます。
また、時速250キロメートル以上の高速鉄道も
約1万3000万キロメートルが建設される見通しです。

こうしたことを受け、2009年における
『中国中鉄』『中国鉄建』『中国交通建設』の新規受注額は
3109億元(前年比35.0%増)、3050億元(同20.1%増)、
480億元(52.4%増)と順調に増加。
また、同期の『中国中鉄』『中国鉄建』の受注残額は6425億元、
6846億元となっていますが、
(1)鉄道建設に関する受注増は
10−11年にかけてピークに達すると予想されること、
(2)1件当たりの受注額の上昇や鋼材価格の低下などにより、
売上高総利益率の向上が望めること、などのプラス材料もあるため、
今後の収益は安定した伸びを維持しそうです。
欧米諸国や新興市場の需要増を受けて、
車両の輸出量も中長期的に増加しそうです。

2.道路:交通運輸部の計画によると、
2020年までに中国の高速道路の総延長は
10万キロメートルに達する見通し。
09年末時点における総延長は6万5100キロメートルで、
08年比5000キロメートルの増加。
今年の末までに7万1000キロメートルまで延長される見通しですが、
交通量の多い沿海都市部の道路網はすでにほぼ整理され、
今後は幹線道路への連結工事が主体になるため、
建設スピードは徐々に鈍化しそうです。

(3)港湾・水路:金融危機の影響を受けて落ち込んだ
中国の輸出入総額も今年に入り回復傾向。
1−9月の輸出入総額は前年同期比39.9%増の
2兆1487万米ドルとなり、
これを受けて関連投資の再加速を期待する向きもあるようですが、
中国の港湾・水路のキャパシティーは
基本的に需要を上回っているため、
その伸び率は限定的なものになりそうです。
2010−12年におけるこの分野の投資額の成長率は11.4%、
7.9%、6.5%にとどまると予想されます。

参考銘柄:『中国鉄建』(01186)、『中国中鉄』(00390)、
『中国交通建設』(01800)など。


←前回記事へ

2010年12月3日(金)

次回記事へ→

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ