中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第33回
石油・ガス関連は“資源税”の行方に注意

現在、香港市場には『シノペック』(0386)、
『ペトロチャイナ』(0857)、『CNOOC』(0883)
など3社の石油メジャーと、
『山東墨龍石油機械』(0568)、『中海油田服務』(2883)など、
2社の油田採掘関連企業が上場していますが、
2010年10月末までのセクターパフォーマンスは平均で10.0%となり、
同期のハンセン指数の上昇率5.8%を上回りました。

金融危機を受けて、
一時失速した世界経済の成長も徐々に回復基調に。
欧米のGDP成長率が
2009年の第2四半期を境にふたたびプラスに転じたことや、
他国に先駆けていち早く景気回復を成し遂げた中国の影響もあり、
原油の国際需要は増加傾向に転化。
IEA(国際エネルギー機関)の予測によると、
10年の原油の世界需要は
前年比2.3%増の8694万バレルに達するとされ、
これを背景にガソリン、
軽油などの石油製品価格も09年3月底に値を上げてきています。

原油価格は需給バランスや在庫水準、生産能力、地政学的リスク、
政治情勢、米ドル為替、投機活動などによって左右されますが、
中国、インドなどの新興国の需要増や中東の政情不安など理由に、
今後も原油価格は高値を維持。
北海ブレンドの平均原油価格(1バレル当たり)は
2010年から12年にかけて、
それぞれ80米ドル、90米ドル、100米ドルで
推移すると予想されます。
石油メジャーの事業環境は基本的に良好といえそうですが、
気になるのは今年6月から新疆ウイグル自治区で導入された
新しい「資源税」の行方でしょう。

この「資源税」は原油と天然ガスの生産・販売への課税を、
従量制から従価制に改めるもので、税率は国際価格の5%で、
従来の約1%と比べ大幅な増税となるほか、
国家税務総局はエネルギー資源の有効利用、節約を目的に、
現在、新疆ウイグル自治区に限定されている導入地域を
来年から全国に拡大する方針を示しています。
この税制の適用で、
『ペトロチャイナ』の税前利益などは、
8.46〜18.34%減少するとの試算もありますから、
注意が必要でしょう。

(次回に続く)


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2010年12月13日(月)

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