中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第34回
石炭価格は今後も高値安定

米国のエネルギー雑誌『World Oil』によると、
2009年末時点における
世界の探査済み原油埋蔵量は1988億2300万トン、
天燃ガスは187億1600万立方メートル。
また、英国の石油メジャー『BP』の統計によると、
その採掘可能年数は原油が45.7年、
天燃ガスが62.8年とされています。

工業化の加速などにより、中国の石油需要は今後も
年10%前後のペースで拡大するとされるため、
このセクターは引き続き強気にみても良さそうですが、
銘柄選択の際は大型の石油メジャーより、
『山東墨龍石油機械』など、
小型の油田採掘関連の方が良いかもしれません。
中国はもちろんですが、限られた資源の確保を巡ぐり、
ロシアを始めベトナム、タイ、ミャンマー、アフリカに至るまで、
世界規模で新たな資源開発競争の幕が開き、
関連機材などの需要が急増しているからです。

一方、もう一つの重要エネルギー、石炭についてですが、
中国の石炭需要の90%は発電プラント、
鉄鋼、化学工業、建材などから成り立っています。
なかでも最も大きいのは発電プラント用ですが、
工業生産の持ち直しや個人消費の増大などの影響を受けて、
2010年1−9月の発電量は
前年同期比16.1%増の3兆906億キロワット時をマーク。
需要増を受けて今年の発電機容量は
前年比9.2%増の7万8000メガワットに達すと予想されるため、
今後も石炭需要は安定して推移しそうです。
香港の証券アナリストは今年の消費量が
33億33000万トン(前年比9.5%増)と見積もっています。

また、事故が相次いでいることを受け、
政府が違法探鉱の閉鎖を加速させていることや、
主要港の在庫量も落ち着いていることから、マーケット価格も安定。
中国の石炭の主要集散地である
河北省秦皇島港の発熱量5800キロカロリーの
1トン当たり価格は今年に入り、700―800元台を維持しています。
石炭価格は原油価格と連動する傾向が強いことも
価格押し上げの要因の一つとなるでしょう。
前回の石油同様、中央政府は石炭採掘企業に対しても
「資源税」を適用することを示唆していますが、
増税分を販売価格にある程度、転嫁することも可能なため、
収益の影響は軽微なものにとどまるとされます。

参考銘柄:『シノペック』(00386)、『CNOOC』(00883)、
『ペトロチャイナ』(00857)、『山東墨龍機械』(00568)、
『神華能源』(01088)、『ヤン州煤業』(01171)、
『中煤能源』(01898)など。


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2010年12月17日(金)

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