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         第37回 
          「北京五輪」「上海万博」の遺産がもたらす次の成長 
        2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博といった 
          中国における歴史的ビックイベントが終了しましたが、 
          今後はこうしたイベントの「遺産効果」に注目したいものです。 
          世界標準レベルの施設やインフラ建設、 
          大々的なマスコミ宣伝を通じた 
          開催地及び国の認知度の向上などはその代表例です。 
        知名度が高まれば海外からの直接投資を筆頭に、 
          観光、会議、事業移転などが促進され、 
          これが継続的な経済成長に繋がります。 
          日本のGDPは東京五輪決定の1958年から7年間、 
          約10%の伸びを示し、 
          開催後、1年間は反動で伸びが落ちたものの、 
          オイルショックを迎えるまでの8年間さらに9%台の成長を続け、 
          とうとう先進国の仲間入りを果たしましたが、 
          これなどもこの「遺産」効果ともいわれています。 
        豊かなアメリカに「追いつき追い越せ」と 
          なりふりかまわず所得倍増に励んだ、 
          45年前の日本の再現が中国でも起こるのでしょうか。 
          いや、後発の有利を存分に発揮しながら 
          その5倍、10倍のしたたかさで、 
          ジグザグと右肩上がりの高度経済へ向かって 
          邁進していくことになるでしょう。 
        経済の急激な発展にともない人件費が高騰、 
          今後、「世界の工場」としての 
          中国の競争力は低下するとの見方もありますが、 
          収入レベルの向上から中間所得層が増えたことにより、 
          「消費」という新たな経済成長の原動力が生まれつつあることを 
          見逃してはいけません。 
          北京や上海でブランドの店舗が次々とでき、 
          ベンツやBMWといったドイツの高級車が飛ぶように売れ、 
          不動産の価格がうなぎ上ぼりなのも、 
          こうした現象の予兆とみることができます。 
          今、中国では消費市場が大変な勢いで伸び始めています。 
          なにしろ人口の15%が中間所得層になるだけで、 
          日本をしのぐ2億人のマーケットが誕生し、 
          しかもそれが年々拡大するとあっては 
          目を離せないどころの騒ぎではありません。 
           
          (次回に続く) 
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