中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第40回
「世界の工場」から「世界の胃袋」へ

次のBの天然資源に関していえば、
中国における需要は今後、増えることはあっても
減ることはないでしょう。

国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、
2009年の中国の石油消費量は22億5000トンと、
米国の22億トンを抜いて首位に。
鉄鉱石、銅などの消費量も世界第1位に付けています。
重要なのはこれらの需要の多くを輸入に頼っていることで、
原油、銅、アルミナ
(ボーキサイト鉱から産出される酸化アルミニウム)などの自給率は
それぞれ60%、55%、51%に過ぎません。

1990年代に大いに生産能力を増強した中国は、
冷蔵庫、テレビ、携帯電話など分野で一躍、
生産量世界1位に踊り出るほどになりましたが、
生産量の増大に比例するように(あるいはもっと速いスピードで)、
世界の資源を必要としているのです。

前出の「IEA」の資料によれば、
中国の石油消費は2000年以降2倍以上増加。
しかし、この急速な需要の伸びにもかかわらず、
中国の1人当たりのエネルギー消費量は2.4バレルと、
アメリカの22バレルなどと比べるとまだ非常に少ないため、
今後の需要はさらに目覚ましい伸びが見込まれます。
昨年の中国の石油消費は1日当たり850万バレルでしたが、
だったこのまま経済の拡大が続けば、
今後2年間で
90万バレル増加すると予想する研究機関もあるほどです。
こうした旺盛な需要を抱える中国は今後、
石油を始め多くの天然資源マーケットで
決定的な役割を果たすことになるでしょう。

「世界の工場」から「世界の胃袋」へ。
中国のお腹が減れば天然資源の価格は上昇し、
中国がゲップをすれば天然資源の価格が下る。
中国(そしてアジア全体)の需要拡大は
世界のエネルギー市場の版図を
大きく塗り替えることになるでしょう。

(次回に続く)


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2011年1月7日(金)

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
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