中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第41回
中国経済の発展は新たな段階に

Cの金融関連は言うまでもなく経済の発展と密接な関係にあります。
経済成長期における産業界はどこも資金需要が旺盛ですから、
銀行の世話にならない企業はまずありません。
日本の場合は戦後のお金のないところから出発しましたので、
どの企業も借金経営で銀行はその分、
産業界に深入りすることで経済成長の恩恵を蒙りましたが、
デフレになると深くかかわった分だけ、
産業界のピンチに足をさらわれ、お金を貸した方が倒産したり、
整理統合されたりして、
立ち直るのに大変な時間がかかってしまいました。

しかし、成長期の企業と関わり合いを持つことは、
産業界の分け前に銀行が割って入ることですから、
銀行界に安定した利益をもたらします。

かつて国営事業が経済の中心になっていた時代の中国では、
政府の命令一つで損得とは関係なしに融資しましたから、
どの銀行も不良債権だらけでしたが、
ここ数年、政府の懐具合がよくなったせいもあって財務改善が進み、
株式会社化され身奇麗になった大銀行が
次々と香港に上場して厖大な資金を集めるようになりました。
また、豊かになると人は病気や死ぬのを恐れるようになりますから、
保険会社の掛け金も年々増加中です。
銀行と違って証書一枚で莫大なお金を集め、
それを成長する産業界に投資できるので、
保険会社の資産は急激な勢いで増える方向にあります。

最後にDの個人消費に関しては
注目している読者の方も多いと思います。
中国の1人当たりのGDPは2009年に3000米ドルを突破しましたが、
15年には6000米ドル台に達するとの予想もあります。
このような状況は1950−70年代に
高度成長期を迎えた日本とほぼ同じで、
同時期に自動車や家電といった耐久財の需要が
急激に拡大したことから、
中国でも今後、個人消費の増大が予想されます。
中国経済の発展が新たな段階に入りつつあるわけです。

大きなものは前に挙げた住宅などの不動産から、
小さなものはスーパーマーケットの惣菜まで、
個人消費がカバーする範囲は広大で、
大手チェーンスーパーの『聯華超市』(00980)、
全国で家電量販店を展開する『国美電器』(00493)、
スポーツ用品メーカーの『李寧』(02331)など、
それぞれの分野を代表する企業が株式市場に軒を連ねていますが、
個人的に今、最も注目しているのがこの分野です。


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2011年1月10日(月)

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
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