中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第47回
表面上の為替レートに騙されるな!

中国で不動産投資というと、
「1人当たりのGDPが3000米ドルを超えたばかりの中国で
不動産を買う人なんてごく一部の金持ちだけだろう」
と考える方もまだいると思いますが、
これは少々、日本のマスコミに毒された見方です。

確かに米ドルや日本円などの為替レートで換算すると、
中国人の平均所得は日本人の10分の1くらいしかありません。
上海や北京など沿海都市は内陸の農村部に比べたら、
天と地ほどの差がありますが、それでも日本の5分の1程度です。

しかし、物価や生活レベルを測るモノサシとして、
為替レートというものはそれほど信頼できるものではありません。
例えば現在、日本円と米ドルの為替レートは、
1米ドル=84円ほどですが、
アメリカのスーパーマーケットで売られている食品や日用品を、
日本で買うとどれぐらいになるかと考えて見ると、
少なく見積もっても
日本の方が割高な値段が付くことになりますから、
平均所得が同じくらいといっても、
日本の実質物価はアメリカよりずっと高く、
生活レベルは低いということになってしまいます。
こうしたことを見ても
為替レートが他国の物価を正確に反映していないことが分かります。

どうしてこのようなことが起るかというと、
為替相場は国と国の貿易収支の動向がベースにあって、
常に黒字を計上している国の通貨が強くなる傾向にあるからです。
また、資本の移動が自由化されている今日では、
資本が流入する国の通貨は高くなりますし、
逆に政治的、経済的などの要因によって資本が流出すると、
その国の通貨は弱くなります。
さらにこうした為替変動の利ざやを狙った投機資金が、
貿易量の数十倍に匹敵する資金を動かしますから、
為替レートは異国間の物価レベルを無視した
まったく別の動きになってしまうのです。


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2011年1月31日(月)

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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