中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第48回
人とお金の流れは先進国から新興国へ

一国の潜在能力を測るにはこうした為替レートより、
人の流れの方が重要でしょう。
特に中国の場合は、これまでも説明したように
現在の米ドルは本当の経済の実力をまったく反映していませんから
(この矛盾に我々の投資チャンスが潜んでいるわけですが)、
なおさらです。

常識的にいうと、
人の流れは賃金の安いところから高いところに動くものです。
これは発展途上国から先進国へ、と置き換えても良いものですが、
最近の動きを見ていると、
これと全く逆のケースが目立つようになってきました。
わけても先進各国から中国への投資に伴う人の移動が
急激に増えています。

中国に今、海外から資本が集まってきているのは、
工業化の推進により
「世界の工場」としての地位を確立しただけでなく、
経済成長とともに国民所得の増加がもたらされ、
この国に世界最大級の消費市場ができつつあるからです。
かつての日本がそうであったように、
中国人も世界のお金持ちに仲間入りするプロセスに置かれている、
と見て間違いないでしょう。

有識者のなかには、沿海都市部と内陸部の収入格差を、
中国のリスク要因として挙げる向きもありますが、
個人的な見方をいわせてもらえば、
社会の健全性を測る尺度は、貧富の差ではありません。
中国の場合、
13億人の人間がしっかりとご飯を食べられるかが最低線で、
後は人々の不満を解消するだけの富の増大があり、
貧しい人達の生活水準を引き上げられるだけの
チャンスがあるかが重要なのです。

実際、ここ10年で中国人の生活レベルは大きく改善されました。
確かに上海あたりでも、
大卒の初任給は月4000元(約6万円)ほどですが、
昼食の弁当代は値上がりしたとはいえ10元(約120円)程度。
通勤に使うバスの料金は冷房車でも2元(約24円)です。
今時、東京でこんな安い乗り物はないでしょう。
表面的な収入レベルは低くとも、
上海の方が東京よりずっと暮らし易いのではないでしょうか?


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2011年2月4日(金)

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