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         第52回 
          「申」の字型に開発が進む上海の都市計画 
        こうした状況を見据えて、 
          中国ではどのように不動産投資が行われているのか。 
          ここでは私が現在、居を構えている上海を例に話を進めましょう。 
        上海は何といっても発展する中国の最先端を行く 
          21世紀アジアのホープです。 
          半年も行かなかったら、 
          違った町に来たのではないかと見間違えるほどの 
          フルスピードで変貌を遂げており、 
          今後の中国全土の発展を示すモデルとして参考になるからです。 
        上海は大きく浦東、黄浦、楊浦、濾湾、徐匯、閔行、長寧、 
          静安、閘北、虹口など、10エリア(地区)に分かれますが、 
          その都市計画は「申」の字型に進められています。 
        「申」の字の縦の線は南北高架路、横の線は延安高架路で、 
          縦横の放射路を形成。 
          その周辺を取り囲むのが内環、中環、外環の環状線で 
          既に開通しています。 
          計画性の高さは市内交通にとどまりません。 
          「申」の字は郊外から 
          さらには隣接する都市へと繋がる高速道路に組み込まれています。 
          放射路的な正確を持つ高速道路はA−1〜A−20と数字で分けられ、 
          上海と杭州を結ぶA−8や南京に通じるA−11などを始め、 
          各線が近隣都市と結ばれています。 
          上海の都市建設がこれほどまでにスピーディに、 
          それこそ未来を鷲掴みするように進んで行く理由の一つに 
          土地収用の容易さがあります。 
        例えばA地点からB地点までを結ぶ 
          理想的な道路計画があるとします。 
          しかし、これを日本でやろうとすると問題が山積みです。 
          建設予定地の住民説得から始まって、 
          監督官庁への許認可申請などなど、莫大な時間とコストがかかる。 
          障害が多すぎてなんとか実現に漕ぎ着けたとしても、 
          当初の計画から大きくずれてしまうのが普通です。 
        この点、中国ではまったく事情が異なります。 
          社会主義制度のもとではすべての土地は国のものですから、 
          政府の鶴の一声で建設予定地を決定し、 
          住民を移動させることも可能。 
          だから理想像に沿った建設が進められるのです。 
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