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         第53回 
          有名都市の長所を積極的に取り入れる 
        同じことは道路だけでなく地下鉄にもいえます。 
          上海の地下鉄は1995年に1号線が開通した後、 
          現在は11号線までが開通。 
          環状線をつかさどる4号線を中心に 
          各線が縦横無尽に上海の各要所を結んでいます。 
          また、乗車キップにも工夫のあとがみられ、 
          共通の非接触ICカード(プリペードカード)が 
          日本などに先駆けてすでに普及。 
          このカードは地下鉄だけでなく、バス、タクシーなどの 
          あらゆる交通機関で使える優れものです。 
          地下鉄の駅構内には液晶モニターが並び、 
          ニュースやコマーシャルがひっきりなしに流れていますし、 
          こういうのをみると「技術立国・日本」などというのは、 
          とうの昔の幻想だと思えてしまいます。 
        年々増え続ける自動車が引き起こす交通渋滞や事故、 
          地下鉄やバスにおける乗客のマナーの改善など、 
          急激に発達したハードに 
          ソフトである人間の意識が追いつかない部分もありますが、 
          環状線優先の高速道路建設も 
          先進国である日本の東京などの失敗を踏まえているようですし、 
          後発ゆえの強みを存分に発揮しながら、 
          世界の有名都市の長所を積極的に取り入れようという姿勢が 
          上海の都市建設からうかがえます。 
        また、中国鉄道部は北京−上海間を結ぶ高速鉄道(中国版新幹線)を 
          予定より1年以上繰り上げて 
          今年6月中旬から営業運転を開始すると発表。 
          同線は全長1318キロで東京−鹿児島中央間とほぼ同じで、 
          総事業費は2209億元(約2兆7000億円)。 
          日本の新幹線をベースに開発した「和諧号」を 
          最高時速350キロで走らせ、24の都市(駅)を結び、 
          年間8000万人の旅客を輸送するとしています。 
          北京−上海間は在来線で約10時間かかりましたが、 
          高速鉄道では約4時間に短縮されることになります。 
        上海を起点とした高速鉄道はすでに杭州、蘇州間などと結ばれ、 
          人口1億2000万人の巨大経済エリアが形成されていますが、 
          こうしたさらなる鉄道網の整備は 
          同市の経済成長をさらに刺激することになるでしょう。 
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