第64回
中国株/セクター別投資戦略(3)
☆食品/外食=インフレ加速で業績に明暗
2010年第3四半期における
農村部と都市部の可処分所得は前年同期比ベースで
それぞれ11.8%、9.8%の増。
収入レベルの向上とともに大衆消費財への需要は増加しており、
2010年1−11月期における食品加工メーカーの売上高は
前年同期比31%増をマーク。
都市化の加速にともない、
今後もその市場規模は安定的に拡大していくとされます。
わけても川上の食品加工を手掛ける企業や酒造メーカーは
コスト上昇分を製品価格に転嫁し易いため、
インフレに強いとされます。
こうした観点からみると、『通天酒業』(00389)や
『青島ビール』(00168)、『雨潤食品』(01068)など、
コストコントロールに優れる企業(銘柄)の押し目は
絶好の投資好機といえそうです。
反対にインフレ局面で苦境に陥りそうなのは、乳製品メーカーです。
先のメラニン混入事件で
企業イメージを大きく損ねてしまったことに加え、
生乳価格の上昇にともなうコスト増、
政府の価格統制などの逆風を受けて、
その収益は大きく圧迫されそうです。
中国は2008年の1−11月期に
現在と同じようにインフレが加速しましたが、
その際も乳製品メーカーの株価は市場平均を大きく下回りました。
外食産業はどうでしょうか。
2010年1−11月期における外食産業の売上高は
前年同期比18%増の1兆5913億元をマーク。
所得水準の向上にともなうニーズの多様化や、
中央政府が主導する内需拡大政策の恩恵もあり、
今後も健全な発展が予想されています。
原材料(食材)などの上昇分を販売価格に転嫁し易いところや、
潤沢なキャッシュを有し、
バランスシートに優れる企業が多いことも、
このセクターの強みでしょう。
『Bloomberg』の予想によると、
2010年から向こう3年間の増益率も21%に達するとされます。
銘柄選択の際は業界トップのシェアを持つ『神冠』(00829)、
今後の需要急増が予想される農村や内陸部に販路を確立している
『中国旺旺』(00151)、
化学調味料メーカーのトップ『阜豊集団』(00546)などを筆頭に。
外食産業ではチェーン店舗数の増加に従い収益増が期待される
『小肥羊』(00968)なども面白い存在です。
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