中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第75回
中国株/セクター別投資戦略(14)

☆電力=クリーンエネルギーの需要は膨大
先行き見通しは「ニュートラル」です。

「卸電力価格と最終販売価格に市場競争の原理を導入する」
などの項目が盛り込まれた電力価格体制改革は、
この業界に発展の余地を与えるでしょうが、
改革が実行に移されるまでにはまだ一段の時間が必要。
また、石炭価格の上昇などでコストが増大しているなか、
インフレ抑制を目的とした政府の価格統制がおこなわれているため、
発電会社の収益は縮小傾向にあります。
CO2の削減を目標とした省エネ政策も
電力需要の増大を鈍化させる要因の一つです。

電力銘柄を選ぶ際は水力、風力、原子力などの
発電比率が高いところに注目してください。
火力発電は先に述べた通り、石炭価格の上昇により粗利益が減少。
また、政府の環境保護の推進により、
その需要も徐々に減っていくと予想されますが、
水力、風力、などのクリーンエネルギーは
この火力発電の減少分を埋めるように、
今後の発展が予想されるからです。
原子力については日本の福島発電所の事故を受けて、
中国でも建設プランが見直されているようですが、
原子力は水力、風力のように
天候によって発電量が変動することがなく、発電コストも安いため、
中長期的な需要はやはり増加すると予想されます。

太陽光発電については
中央政府の支持が大きなファクターとなりそうです。
ここ数年の技術開発により、
中国メーカーの生産コストは大きく下がってきており、
フィードインタリフ制度(固定価格買取制度)の導入など、
政府主導で販売価格が適正に調整されれば、
業界の飛躍的な成長が期待できます。
エネルギー構造の改善を目指し、イタリア、ドイツなど、
海外で太陽光発電の比率が高まってきていることも、
関連企業に追い風になるでしょう。

発電設備セクターの見通しについても同じことがいえます。

“十二五計画”(第12次5ヵ年計画/2010〜15年)では、
一次エネルギー
(自然界に存在するそのままの形を用いて
エネルギー源として使われているもの。
化石燃料、ウランのほか、水力、火力、太陽熱、太陽光、地熱などの
自然エネルギーから直接得られるエネルギーが該当)
の消費比率を現在の7%から9%に高めるとされているほか、
風力や太陽光の消費比率を
0.8%から2.6%に拡大するとされています。

また、「全国電力企業聯合会」(中電聯)の予測によると、
コストパフォーマンスに優れる水力発電の発電容量は
2015年に2億8400万メガワットへ82%増加。
また、原子力発電の発電機容量も10年の1082メガワットから、
15年には4294万メガワットへ急増。
20年にはさらに9000−1億メガワットに増加するとしています。
こうした観点からすると、
発電機設備メーカーには
まだまだ大きな成長の余地が残されているといえそうです。

市場の人気を反映して、
このセクターの関連株の株価は割安感に欠けますが、
10年から向こう3年間のEPS(1株当たり利益)伸び率は
32.3%に達するとされますので、
『東方電気』(01072)などの
「押し目」は積極的に狙いたいところです。





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2011年5月9日(月)

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
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