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         第83回 
          中国株/セクター別投資戦略(22) 
        ☆石油=価格上昇の恩恵をフルに享受できる銘柄を探せ 
          先の金融危機からいち早く立ち直った新興国を筆頭に、 
          先進国の景気も回復傾向にあるため、 
          トータルの原油需要は今年も堅調。 
          IEA(国際エネルギー機関)の予測によると 
          1日当たりの需要量は前年比約1.4%増の 
          8710−8820万バレルとされます。 
        一方、チュニジア、エジプトから周辺に波及した民主化要求デモが、 
          バーレーンやリビア、イエメンだけでなく 
          ヨルダンやクウェートに拡大したことを受け、 
          このところ原油価格はふたたび高騰。 
          WTI価格は100米ドル/バレルを越すところまで 
          押し上げられています。 
        原油価格はこうした地政学的リスクのほかに、 
          需給バランスや在庫水準、生産能力、米ドル為替、 
          投機活動などによって左右されますが、 
          中国、インドなどの新興国の需要増や米ドル安の進行などを背景に、 
          今後も原油価格は高値を維持しそう。 
          これはガソリンなど精製製品の生産コスト増につながりますので、 
          『シノペック』(00386)など、 
          川下事業の収益比率が大きい企業の業績には注意が必要でしょう。 
        また、このセクターの業績動向を左右するものとして、 
          昨年6月から新疆ウイグル自治区で導入された 
          新しい「資源税」が挙げられます。 
        この「資源税」は原油と天然ガスの生産・販売への課税を、 
          従量制から従価制に改めるもので、税率は国際価格の5%で、 
          従来の約1%と比べ大幅な増税となるほか、 
          国家税務総局はエネルギー資源の有効利用、節約を目的に、 
          導入地域を全国に拡大する方針を示しています。 
          この税制の適用で、『ペトロチャイナ』の税前利益などは、 
          10%以上、減少するとの試算もあります。 
        中国の石油メジャーでは『CNOOC』(00883)が比較的お薦め。 
          同社は上記の2社とは違い、川下部門を持たないため、 
          原油価格上昇の恩恵をフルに享受できるためです。 
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