中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第84回
中国株/セクター別投資戦略(23)

☆油田設備&サービス=大きな飛躍の好機が
陸上油田に関してはその探査がほぼ一巡したこともあり、
今後の開発の重点は海上に移行するとみられます。
『Spears&Associates』の予測によると、
世界の油田サービスの市場は今後、年率19%のペースで拡大し、
2015年までにその規模は1兆米ドルに達する見通しです。

現在、海洋油田の生産量は全体の33%を占めていますが、
2020年には35%まで拡大。
その開発コストは60米ドル/バレルと
陸上のものより高いことが欠点ですが、
昨今の原油価格の高騰や技術力向上により、
収益率は徐々に改善されていくと予想されます。
中国要因を挙げれば、
“十二五計画”(第12次5ヵ年計画/2010〜15年)において、
中央政府は海洋油田開発に2500億元
(十一五計画の1200億元から倍増)を投入するとしていますから、
『中海油田服務』(02883)などがこの恩恵を受けそうです。

一方、中国のエネルギー需要の増加にともない、
石油、天然ガスの輸送パイプメーカーにも
大きな飛躍の好機が訪れそうです。

少々古い資料で恐縮ですが、
「BPエネルギー統計2009」によると、
2008年の世界の一次エネルギー消費は
1.4%の微増に止まったものの、増加分の4分の3を中国が、
残りの4分の1を主にアジア太平洋諸国が占めました。
08年は世界のエネルギー市場に構造的変化が生じ、
中国を始めとする途上国の一次エネルギー消費量が
初めてOECD(経済協力開発機構)諸国を上回りましたが、
こうした構造の変化は当面逆戻りすることはないとされます。

中国の石油需要は1999−2008年にかけて、
年6.6%のペースで増加しているのに対し、
生産量の伸び率は1.9%しかなく、
需要と供給のギャップは広がるばかり。
同期間における天然ガスの需要量と生産量の伸び率も15.8%、
13.1%となっており、拡大する需要に対応すべく、
国を挙げてエネルギー源の確保を進めているのが現状なのです。

こうした好環境下、
石油、天然ガスの輸送パイプの需要も急増しています。
西部に集中しているエネルギーを東部の沿海都市に輸送する
「西気東輸」といった国内プロジェクトを始め、
ミャンマー、パキスタン、ロシアなど、
海外からエネルギーを輸送する計画も立ち上がり、
中国では全国規模で石油、天然ガスの輸送パイプの設置工事が加速。
その総延長距離は2020年に
10−25万キロメートルに達するとされます。

輸送パイプの製造には高度な技術が必要で、
業界への新規参入はほぼ不可能であるため、
『勝利管道』(01080)など、
既存メーカーの工場は需要急増を受けて、
フル稼働することになるでしょう。





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2011年6月10日(金)

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