中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第85回
中国株/セクター別投資戦略(24)

☆天然ガス=クリーン&低価格を武器に成長加速
全エネルギー消費量に天然ガスが占める割合は、
世界平均が24%に達しているのに対し、
中国は4%と大きく劣っているため、今後の拡大余地は膨大。
発電事業を例にとれば、天然ガス発電から排出される二酸化炭素、
一酸化炭素、二酸化硫黄の量は、火力発電に比べて
それぞれ57%、79%、99%少ないとされるため、
クリーンエネルギーとして、水力、原子力などとともに、
発電機容量の増大が予想されています。

また、販売価格の上昇も
関連企業の収益を押し上げる要因となるでしょう。
2010年5月に国家発展改革委員会(発改委)が
天然ガスの出荷価格の引き上げを認可してから、
すでに工場向けは12%、家庭向けは5%値を上げていますが、
国際水準などから比べてまだ低位にあるため、
今後の引き上げ余地は大きそうです。

香港市場には天然ガスの関連銘柄が7つほど上場していますが、
『Bloomberg』などの予想によると、
2011年のEPS(1株当たり利益)の
平均伸び率は32.5%に達するとされます。
株価は高めですが、10−12年にかけて年4割上の利益増が望める
『昆侖能源』(00135)などが面白そうです。

☆石炭=関連企業の収益のカギは業界再編
中国の石炭の主要集散地である
河北省秦皇島港の発熱量5800キロカロリーの
1トン当たり価格は今年に入り、820―845元台を維持。
石炭価格は原油価格と連動する傾向が強いため、
今後もその価格は高値を維持しそうです。
また、輸送能力の不足もこの傾向に拍車をかけるでしょう。

香港の証券アナリストなどの予想によると、
中国における石炭の需給バランスは
基本的にイーブンにあるとされますが、
内モンゴルや山西省、陜西省といった生産地から、
主要消費エリア(東北や華東、中南地域)へかけての
鉄道インフラ整備が遅れているため、
局地的に供給量が需要に追い付かないケースも出てきそうです。

予想EPS(1株当たり利益)に基づく、
このセクターの2011年PER(株価収益率)の平均は
11.5倍と過熱感はありませんが、
今後の関連企業の収益のカギは
M&Aを主体とした業界再編となりそうです。

中央政府は石炭業界の再編を加速し、
2015年までに年間生産能力1億トン級10社、同5000万トン級10社、
1000万トン級60社に統合する意向を持っていますが、
全国に1万1200社の石炭企業が点在するなか、
2009年末時点で5000万トン以上の生産能力を持つものは
9社しかありません。
石炭の採掘から貯蔵、輸送、販売までを一貫して行う民営企業の
『中国秦発』(00866)などの動向に注目です。





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2011年6月13日(月)

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
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