中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第91回
黄金期を迎える中国の鉄道業界

2010年における鉄道関連の固定投資額は7091億元に達し、
その総延長距離は9万1000キロメートルに達しましたが、
11年も7000億元規模の資金が投入され、
北京−上海間の高速鉄道など、
7901キロメートルの新線が稼働する見込み。

また、“十二五計画”(第12次5カ年計画、11-15年)によると、
15年までに中国の鉄道の総延長を
12万キロメートルまで拡充するとされているため、
高速鉄道(総延長1万6000キロメートル以上)、
西部鉄道(同5万キロメートル以上)などが今後、
整備される予定。
これに合わせるように車輛の需要も伸び、
高速車輛などは1500列(1列=8車輛編成)以上が
必要になるとされます。

交通インフラには高速道路や空港、港湾(水路)など
さまざまありますが、航空機や自動車に比べて
電力を動力とする鉄道は環境にやさしく、
CO2(二酸化炭素)の排出が少ない点が優位点。
駅周辺の発展や鉄道工事による雇用確保など
高速鉄道路線の拡充は経済発展へのメリットも大きいのです。
高速鉄道や地下鉄などを中心に中国の鉄道業界は向こう5年間、
発展の黄金期を迎えるとの観測もありますが、
鉄道事業は新規参入のハードルが高く、過当競争がないため、
需要の増大は即、同社の収益拡大に繋がるとみられます。

また、将来の成長動力として期待されるのが海外事業です。
同社は昨年、時速400キロメートル以上の
高速鉄道車両の自主開発に成功。
中国ならではの高いコストパフォーマンスに加え、
品質の高さを武器にも世界的に認知されつつあり、
過去3年間の海外輸出は年平均で50%以上の伸びを見みせています。

都市開発の加速で需要が急増している地下鉄車輛も
同社の需要な収益源となるでしょう。
同社の強みを簡単に説明するなら、
1.業界トップクラスの経営規模を持ち、
2.収益がマクロコントロールの影響を受けにくく、
3.業界見通しが上向きで、
4.政府の支援を享受できる、という4要素になるでしょう。

香港の地元証券の予想によると、
同社の売上高は2012年には1000億元の大台に達する見通し。
これにリンクするかたちで収益も増大するとみられます。
相場の軟調を受けて、株価が下がるようなら
積極的に拾っていきたい銘柄です。





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2011年7月4日(月)

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
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個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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