中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第92回
『通天酒業』(00389)の見通しは?

邱先生のコラムでもたびたび取り上げられている
『通天酒業』(00389)の見通しはどうでしょうか?

同社は中国10大ワインメーカーの一つ。
設立は2001年の1月。
吉林省の通化県に本拠を置き、
長白山のふもとで作られる山葡萄からワインを生産。
製品は大きく幹葡萄酒(糖分が0.25g/100mlのドライワイン)と
甜葡萄酒(糖分が5%以上のスイートワイン)に分けられ、
「通天紅」「通天」などのブランド名で販売。
18種類に及ぶ製品は71の卸売業者を経て、
全国19省及び3直轄市に販売されています。

2008年の販売量は1万7155トンで、市場シェアは3.4%。
香港上場は2009年11月で、
IPO(新規株式公開)による調達資金
43億8900万香港ドルは主に次のものに使われています。

(1)生産能力の拡大:
2009年末における同社の生産能力は1万9000トンでしたが、
2010年末までにこれを3万9000トンまでに引き上げる。

(2)通天葡萄園プロジェクト:
吉林省の吉林市に2000畝(約13万3400平方メートル)の
葡萄園を建設。
同時に年間生産量500トンのワイナリーも併設する。

(3)通天ワインセラープロジェクト:
吉林省の通化市に60万本(1本=750ミリリットル)を貯蔵できる
ワインセラーを建設する。

(4)販売ルートの拡充:
今年中に北京、上海、成都、瀋陽などに販売拠点を新たに置くほか、
主要市場に向こう4年間で20カ所以上の直営店を展開する。

(5)製品知名度の向上:
テレビ宣伝やイメージキャラクターを登用し、
製品(ブランド)イメージの向上を図る。

同社の売上高は2006年の2億8182万元から
10年には7億350万元へ拡大。
これは主に主力製品であるスイートワインの販売価格が
2万1300元(1トン当たり、以下同)から
3万8300元へ上昇したため。
製品価格の上昇とともに利益も拡大基調にあり、
その売上高総利益率は06年の50.2%から10年には58.8%へ改善。
同年の純利益も6218万元から2億800万元へ3倍以上伸びています。

『王朝酒業』(00828)、『張裕ワイン』(200869)なども
生産しているドライワインは競争が激しいため、
同社は04年を境にスイートワインの生産能力の拡充に着手。
昨年末時点の売上比率は70.8%にも達していますが、
これに従い粗利益率も大きく向上しているわけです。





←前回記事へ

2011年7月8日(金)

次回記事へ→

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ