中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第93回
『通天酒業』の収益拡大を後押しする3要素

今後の業績見通しについてですが、
上記の生産能力や販売ルートの拡充により
販売量の増加が望めるほか、
以下のポイントも同社の収益増を促すとされます。

1.中国ワイン市場の潜在能力の高さ:
「ブドウ・ワイン国際機構」(OIV)の2008年度の統計によると、
中国のワイン消費量は13億6710万リットルで世界5位。
ただ、人口の多さも手伝ってか
1人当たりの消費量は1リットル程度で、
1位フランスの50リットルと比べると大きな開きがあるほか、
世界平均の3.5リットルの3分の1程度にとどまっているため、
今後の市場拡大の余地は大きいとされます。
英国ロンドンに本社を置く情報サービス会社
『Business Monitor International』などは、
中国のワイン消費量は2014年まで
最低でも10%以上のペースで増大すると予想しています。

2.生産基地の地理的優位性:
葡萄と葡萄ジュースのコストは全体の45%にも達するため、
いかに良質な葡萄を適正価格で仕入れるかが、
ワインメーカーに取って重要なポイントとなりますが、
同社の生産基地は中国でも有数の葡萄の産地である
吉林省の集安市からほど近い長白山のふもとにあるため、
地理的に非常に有利。
新疆、雲南、山東など、中国の10大葡萄生産地のなかで
吉林省は5位にランクされますが、
その生産量拡大のスピードは他地域を大きく上回っています。

3.製品構成の多様化:
このところ中国では伝統的なドライワインに代わって、
口当たりの良いスイートワインがブームになっていますが、
前回に述べたように同社はこの機を逃さす製品構成を調整。
甜葡萄酒の生産量を増加したことから、売上が着実にアップ。
中国人の収入レベルの向上、中間所得層の増加に合わせて、
同社は今後も粗利益の高い高級製品の開発に注力する見込みで、
現在進行中の各プロジェクトが軌道に乗れば、
スケールメリットの向上などから、
売上高総利益率はさらに60%台に改善する可能性もあります。

中国には600社以上のワインメーカーが点在している一方、
「長城」「張裕」「王朝」「威龍」など
4大トップメーカーの生産量は全体の4割超えており、
業界の企業集中度は比較的高いものがあります。
こうしたなか、『通天酒業』が今後、
どうやってシェアを拡大していくかが焦点となりますが、
売上総利益率の高さなどからみるに、
小粒ながらなかなか面白い存在でしょう。





←前回記事へ

2011年7月11日(月)

次回記事へ→

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ