中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第96回
李鵬・元首相の実娘が主席を務める『中国電力新能源』

『中国電力新能源』(00735)
中国5大電力会社の一角
『中国電力投資集団』グループの傘下企業。
風力発電を主軸に、水力、バイオマスなどの
再生可能エネルギー事業を行っています。

2007年7月に不動産投資や貿易などを手掛ける投資会社
『オリエンタル・インベストメント』を買収するかたちで
香港に上場しました。
同社の董事会主席は
李鵬・元首相の実娘である李小琳氏が務めており、
政府中央とのパイプの太さには定評があります。

2010年末時点における発電機容量は
1373.83メガワット(権益ベース)で、
プラントは広東省、福建省、甘粛省などに点在、
発電した電力は南方電網、華東電網、
西北電網などに販売しています。

業績は急拡大中です。
2010年の純利益は前年比74.4%増の2億3422万香港ドルをマーク。
親会社『中国電力投資集団』のテコ入れにより、
保有資産が急速に増加していることが主要因です。
2009末時点における権益ベースの発電機容量は
約861メガワットでしたが、同社は風力発電を中心に、
2012年までに1900メガワットまで拡大することを計画中。
これらのプロジェクトには次のものがあります。

(1)甘粛省プロジェクト:
同社は昨年3月に『甘粛匯能新能源技術発展』から
甘粛風電一期の権益10%を追加取得し、完全買収。
甘粛風電一期は134台の風車
(1台当たりの発電容量0.75メガワット)を持ち、
2007年11月からすでに稼働を開始しています。
同社はこのほかにも同風電二期(発電機容量49.5メガワット)、
甘粛北大橋第五風電場(同200メガワット)、
甘粛橋湾三南風電場(同100メガワット)などの建設に
参加しています。

(2)上海市海上プロジェクト:
『上海東海風力発電』の権益24%を保有するほか、
東海大橋付近で海上発電プラントを建設
(発電機容量102メガワット)。
同プラントは今年3月から試験稼働を行っている。
また、昨年12月には『上海緑色環保能源』、
『中電中国崇明』と合弁会社を設立し、
上海市の北東に位置する崇明島で
風力発電プロジェクトを建設中(同48メガワット)です。

(3)黒竜江省プロジェクト:
同省の発展改革委員会の批准を得て、
紅旗風電(発電機量49.5メガワット)、
海狼風電(同50メガワット)のプラント建設中。
これらのプラントは今年中の稼働が予定されている。

風力発電の販売価格は既存の火力や水力より高く設定されるため、
同社の業績は2011年からさらなる急成長を遂げる見通し。
上記のプロジェクトがすべて本格稼働する12年には、
風力発電からの収益が全体の45%を占めると予想されます。


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2011年7月22日(金)

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