中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第111回
「販売が主で、運用は二の次」の日本のファンド

こういうことをいうと皆さんの中には
「ならば運用はプロに任せて、
投信(ファンド)を買えば良いのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、これに関しても
個人的には大いに疑問に感じるところです。

第一に、日本の証券会社の
ファンド・マネージャーの実力に信用がおけません。
先日、ある証券会社のウェブを調べてみたら、
国内株式に投資するファンドは43本あるものの、
基準価格を上回っているのは6本のみ。
一時は5兆円もの資金を集め、鳴り物入りでスタートした
『グローバル・ソブリン・オープン』なども
5000円台で低迷しています。
プロが運用したにしてはあまりにもお粗末な結果です。

「個人投資家の資産運用はファンドに限る」
と多くのファイナンシャル・プランナーは主張しますが、
その実態は財産つくりに有効な商品というイメージから
ほど遠いのが現状です。
日本において投信は、個人投資家のお金を巻き上げる器として
駆使されてきた歴史があります。
いわゆる大量設定・大量販売というのがそれでで、
これについて知り合いの元証券マンは次のように語っています。

「ファンド販売をビジネスと考えれば、
相場のピークに近い時点で新規の投信を設定するのが
最も効率が良い。
大相場が続けば投資家なら誰でも
その強い動きに参加して儲けたいと思うものだからね。
バーゲンセールに群がる消費者心理と同じだよ。
証券会社が上昇相場の頂点で狙い定めたかのように、
次々に新しいファンドを売り出すのは商売として当たり前のこと」

「日本の投信の運用成績が良くない理由なんて簡単なことだよ。
多くの投信は設定直後の資産規模が一番大きくて、
時間の経過とともに解約が相次ぎ、
ドンドン残高を減らしてしまうから。
タネ銭がなければどんなに優秀な運用担当者だって
相場を張れない。
追加設定の可能なオープン型の信託期間は
だいたい7〜10年だけれども、
そのうち最初の2年ぐらいは安定した運用成績を上げるために、
解約を受け付けないクローズド期間が設けられている。
だから、ファンド・マネージャーは、
設定後1年半ぐらいは全力で運用して、
その後の半年はクローズド明け後の解約に備えて
現金を積み増しするんだ。
こうなるともうまともな運用なんかできなくなる。
残りの5年とか8年は解約売りと、
そのための現金つくりの追いかけっこを繰り返すばかり。
そのファンドはひたすら余命を保つだけになるのさ」

販売が主で、運用は二の次、
これが日本のファンドの実態なのです。





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2011年9月12日(月)

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
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