第116回
地理的条件に恵まれたマカオの潜在能力
『MGMチャイナ』(02282)の業績の原動力は
VIPルームからの収益です。
VIPルームの顧客が全体に占める割合は10%と少ないものの、
その売上は全体の約70%に達しています。
2010年の収入は、
前年同期比58.8%増の72億4441万香港ドルでした。
また、直接、経営を行っている『MGMマカオ』以外にも、
一定条件をクリアしたカジノにサブライセンス(営業権)を付与。
安定したライセンスフィーを得ています。
同社は6月3日に香港市場に上場。
IPOに当たってパンジー・ホー氏は7億6000万株を
1株15.34香港ドルで売り出し、
117億香港ドルを調達しましたが、
この資金はすべて「MGMマカオ」の債券回収に充てられる見通し。
これによりパンジー・ホー氏の持ち株率は29%に、
『MGMリゾーツ』の出資率は51%となり、
経営権を握ることになります。
先に発表された今年の中間決算では
前年同期比379.9%の増益を計上するなど、
足元の業績は好調。
過去5年間でマカオのカジノテーブル数は3.5倍に増加。
2010年10月時点におけるそれは4838台に達しており、
需給バランスの悪化を恐れたマカオ政府が
向こう3年間に許可する新規のカジノテーブル数を
662台に抑えると発表。
これを受けて、カジノ業界の収益の伸び悩みを
心配する向きもありますが、
こうした流れを見越して同社は
広東省珠海を望むタイパ島のコタイ地区に進出し、
マカオ政府に対し178エーカーに及ぶ開発用地の
使用権申請を行っています。
上場後の株価はさすがに昨今の軟調相場に押され、
下げ基調となっていますが、
IPOの公募価格を下回っている現在の株価に
次の投資好機が潜んでいるかもしれません。
2010年にマカオを訪れた観光客数は
2497万人に達しましたほか、
飛行機で2時間の商業圏内に11億人の人口を有するなど、
地理的条件に恵まれた同地の潜在能力は大きなものがあり、
今後も隣接する中国、香港を中心に
来訪者数は右肩あがりに推移。
同社の業績もこれにリンクするかたちで
成長することが期待されているからです。
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