中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第118回
風力発電企業の成長を促進する政府の優遇政策

再生可能エネルギーのコンサルティング大手
『Garrad Hassan』の予測によると、
2010−15年にかけて中国の風力発電設備の容量は
年21.7%のペースで拡大。
15年には11万9700メガワットまで増加するとされます。

今回、上場した『大唐新能源』(01798)
『華能新能源』(00958)の2社を含む
トップ10の市場シェアが56.4%に達するなど、
中国の風力発電市場は産業集中度が高く、
大手による寡占が進んでいるので、
市場拡大の恩恵を両社ともほぼダイレクトに享受できそうです。

また、中央政府のテコ入れも
産業の発展を促進する大きな要素の一つ。
現在、関連企業の成長を促進するため
次のような優遇政策を打ち出されており、
そのバックアップ体制はまさに「至れり尽くせり」の観があります。

(1)高価格での電力買取制度:
再生可能エネルギーである風力発電の普及を目的に導入。
1キロワット時の買取価格を比べると、
火力の0.3601元(加権平均価)に対して
風力は0.4653元(同)と、約29%も高く設定されており、
その経常利益率も火力の23.3%より高い56.6%に達している。

(2)優遇税制と補助金制度:
政府の批准を受けた関連企業には、“三免三減”
(所得税の優遇制度。最初の三年間は100%免除、
その後の3年間も50%免除)が適用されるほか、
さまざまな補助金も受けられる。

中国は風力エネルギーの資源が豊富で、
開発可能な量はおよそ100万メガワットとされ、
この6割だけでも中国の年間の電力需要を満たすことができます。
この大きな『資源の宝庫』を開発するため、
中国政府は一連の政策を打ち出し、
各地の政府と企業を支援しているのです。

こうした追い風を受けて、2社の業績は順調に伸長。
2011年の中間決算における純利益は
『大唐新能源』(01798)が4億1600万元、
『華能新能源』(00958)が6億7300万元で、
前年比ベースの伸び率はそれぞれ105%、131%に達しています。

発電設備容量の増加にともなう発電量の増加が主に寄与。
『大唐』の発電機容量などは2009年の2619.5メガワットから
10年には4027.8メガワットへ53.8%増加しています。
発電設備の国産化率が高まるに従い、その価格が近年、
大幅に下がっていることも収益に厚みを加えている要因の1つです。


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2011年10月7日(金)

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