中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第121回
上場による調達資金は主に中国での新規出店に

『プラダ』(01913)の過去3年間の業績は右肩上がりをキープ。
売上高は2009年の16億4000万ユーロから
11年には20億500万ユーロへ、平均11.6%の速度で増加。
純利益も9880万ユーロから、2億5000万ユーロへ、
平均59.3%の伸びをみせています。

収益増の原動力は製品価格の上昇と、
生産規模の拡大にともなう平均コストの低下です。
「PRADA」と「Miu Miu」のEBITDA率
(営業収益に対するEBITDAの割合)は09年の19.2%、12.5%から
28.1%、28.1%へ大きく向上しています。

同社は今年6月の香港上場に当たり1株当たり香港ドルで、
4億2328万株を売り出し。調達資金の22億7900万香港ドルは
主に直営店の新規出店や既存店の改修などに充てられる見通しです。

2011年における直営店の1店舗当たりの売上高は447万ユーロ。
全売上高の71%を占める直営店の売上高総利益率は67.82%と高い。
同社は今回の香港上場を契機に
中国を中心とするアジア市場の開拓に注力。
12年に80店舗を新規出店するほか、
今後3年間で毎年80店を新たに開業することを計画しています。

2011年上半期の純利益は1億5070万ユーロ。
上場主幹事の『ゴールドマンサックス』などの予測によると、
通年の純利益は3億9000万ユーロに達するとされますが、
公募価格の香港ドルから計算されるPER(株価収益率)は
約23倍と、同業他社に比べて割安という水準ではありません。
ただ、これまで述べたように同社の利益率は非常に高いですし、
今後の新規出店が計画通りに行われれば、
今後の業績は大きな伸びが期待できそうです。

香港の地元報道によると、
イタリアの自動車メーカー『フィアット』(FIA.MI)が
傘下のスポーツカーメーカー『フェラーリ』を
香港市場に上場させる案について、
複数の投資銀行が過去数週間で『フィアット』と協議を行った模様。

IPOの規模は最大で63億米ドルで、
これは主に『フィアット』が抱える
約50億ユーロ(約72億米ドル)の債務の返済などに
充当するとみられていますが、いずれにせよ、
ラグジュアリー製品に対する需要が急拡大している
中国市場におけるイメージアップを狙った
海外企業の香港上場は今後も続きそうです。


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2011年10月17日(月)

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