第130回
注目すべきセクターの筆頭は引き続き消費関連
このところの相場展開は一進一退の展開が続いていますが、
こういうときこそ銘柄研究にいそしみ、
自身のポートフォリオを見直す良い好機です。
今後の相場展開をにらんで、
銘柄選択を進める際、考慮しなければならないのは
“十二五計画”(第12次5ヵ年計画/2010〜15年)”
を筆頭とする中央政府の政策、
外需から内需主導への経済モデルと転換と、
それにともなう消費能力のアップなどでしょう。
また、人民銀行の貨幣政策、保障性住宅
(政府が低中所得世帯に提供する廉価住宅)の建設の加速、
CO2(二酸化炭素)削減を柱とする環境保全や省エネ、
欧米を始めとする先進国の経済状況なども、
個別の株価形成に影響を与える要素となりそうです。
詳細な解説は後述しますが、
注目すべきセクターの筆頭は引き続き「消費関連」、
とくに小売やカジノ関連でしょう。
経済成長にともなう可処分所得の増加などは、
中国人の購買能力を高める大きな原動力となります。
大手証券のリサーチによると、
現在、中国の一家庭当たりの平均負債比率
(ローンなど借入金を預金額で割ったもの)は約40%で、
日本を始めとする先進国の80−120%などと比べて
まだまだ低位にあり、拡大の余地は十分。
マカオのカジノの市場規模などもラスベガスを抜いて
世界1位となりましたが、
今後、主流となるとみられる中価格帯のマスマーケットの規模は
アメリカの7分の1に過ぎません。
現在、取られている金融引き締め策の影響も懸念されますが、
それでもこのセクターに属する企業の業績は
急成長が続きそうです。
もう少し目線を伸ばして、
中期スパンで購入を検討するなら、
石炭、セメント、建材といったセクターの関連企業も
有望かもしれません。
CO2の排出量を2020年までに国内総生産(GDP)当たり
2005年比で最大45%削減するという目標を
政府が発表したことから、
石炭需要が減少するとの見方もありますが、
中国にとって化石燃料である石炭は依然として
最も重要なエネルギー資源の1つで、
一次エネルギー消費量の70.6%を占めていています。
原油にリンクするかたちで、
高値で推移しているその価格も関連企業の収益に
厚みを加えるでしょう。
(次回へ続く)
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