中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第131回
投資を避けたいセクターは鉄鋼と自動車

セメントや建材の価格は
基本的に需給バランスで決まりますが、
中央政府が年を目処に、
年産能力3億トン分の生産設備が
廃棄することを決定したため、
今後のバランスはややタイトに。

単位生産量当たりの原材料・エネルギー消費量の制限、
などを盛り込んだ
「セメント業界への参入条件」が今年、
工信部から発表・実施され、
業界への新規参入は事実上ほぼ不可能になったこともあり、
今後は大手メーカーによる寡占が進むと予想されます。

現在、中央政府が推進している保障性住宅の拡充も
押し上げることになるでしょう。

国土資源部のデータによると、
2010年に新たに貸し出された開発用地は
前年比108%増の
42万8000ヘクタールとなっていますが、
保障性住宅向けの開発用地の増加率は
同338%となっています。

また、こうした住宅建設の加速は
建設機械の需要拡大を刺激するでしょう。
掘削機はもちろんコンクリートミキサー車などは
供給が間に合わない状況が続きそうです。

これら積極的に銘柄物色を進めたいセクターと対照的に、
投資を避けたいものと挙げられるのが
鉄鋼、自動車といった業界です。

鉄鋼製品の需給バランスはローエンド製品を中心に
ルーズな状態にあり、メーカーのプラント稼働率も
平均で75%程度にとどまっているのが現状。
2010年から老朽プロジェクトの淘汰が開始されたことから、
長期的に生産量は徐々に減少していくとされますが、
少なくとも今年一杯はその需給に大きな変化はなく、
価格も低空飛行が続きそうです。

高止まりしている鉄鋼石価格がもたらすコスト増も、
各メーカー収益を減少させる一因となるでしょう。

一方、自動車セクターですが、
(1)小型車に対する減税措置が取り消されたこと、
(2)北京市で実施された新車の購入制限措置が
他都市にも導入される可能性があること、
(3)多くのメーカーの新プラントが今年から来年にかけて稼働、
生産量(供給量)の増加により、
市場競争が一段と激しくなるとみられること、
などから、各メーカーの収益は伸び悩み。

中国のR値
(乗用車価格と1人当たりGDPの相関家計を示す数値)は
今後も3−5の範囲内に収まると予想され、
日本や韓国などのデータなどから、
中長期的に安定成長を遂げると予想されますが、
目先は厳しい局面が続きそうです。


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2011年11月21日(月

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
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