中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第132回
インフレ局面に最も強いセクターは小売

各セクターの動向をチェックしていきましょう。

まずは小売業界です。
一般的にこのセクターはインフレに最も強いとされます。
デパートやスーパーといった小売業者は、
駅前など集客力に優れる地域に大型店舗を建設するものの、
実際の商品の販売は出店するテナントにまかせて、
その売上から一定の手数料(賃料)を徴収する形態を取るため、
原材料コストの動向などに収益がされほど左右されません。

このセクターから銘柄を物色する場合、
『金鷹商貿』(03308)のように、
多くの自社物件(店舗)を保有するものを選ぶようにしてください。
このセクターの営業コストの約70%は
新規店舗の建設などの固定投資で、短期的な支出はかさみますが、
店舗完成後の収益はレバレッジ効果で拡大していきます。
今年第1四半期のデパート業界の収益は
前年同期比ベースで55%増加しています。

また、このところ急速に高まっている
中国人の購買力に注目するなら、
ラグジュアリー関連も有望でしょう。
全世界のラグジュアリー製品の市場規模は、
リーマンショックなどの金融危機の影響を受け、
2009年には一旦縮小しましたが、
10年にはふたたび拡大基調に回帰。
『Altagamma』の予測によると、
2009−14年にかけて全世界のラグジュアリー製品の
市場規模は平均7%の成長を遂げるとされますが、
その原動力となるアジアの伸び率は10−11%。
とりわけ中国は15−20%と、
他国を大きく上回る高成長が予想されています。

<関連銘柄>

『六福集団』(00590)
金装飾品、宝石の販売の大手
香港、中国、マカオなどで宝飾品の卸、
販売を手掛けるほか、広東省に加工工場も保有しています。
今年上半期の純利益は前年同期比69.7%増の
3億2000万香港ドルをマーク。
経済成長にともなう中国人の購買能力の向上などを受け、
香港、中国の傘下店舗の売上が
25%以上アップしたことが寄与しました。

同社の主要顧客は中国の富裕層で、
「Hurun Report」によると、2010年末の時点で
中国には1000万元(約1億4000万円)超の
資産を持つ個人が82万5000人、
1億元(約14億元)以上の資産を持つ個人は
5万1000人を数えるとされますが、
経済成長にともない、その数は今後も増加する傾向にあります。
こうしたなか、高級ジュエリーといった
ラグジュアリー製品の需要が急増。
価格高騰にともなう資産価値の増大といったことも、
金装飾品の需要を増加させている一因です。


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2011年11月25日(金)

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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