第138回
建設機械の需要バランスに変化なし
建設機械業界の見通しはどうでしょうか?
今年9月期のパワーショベルとローダーの販売台数は
それぞれ8868台、1万8041台、
前年同期比で23.5%減、2.0%増となりましたが、
メーカーごとの販売成績に大きなばらつきがあることには
注意が必要です。
第3四半期におけるパワーショベルの売上高をみると、
『Doosan』(前年同期比−16%)、
『コマツ』(同−3%)、
『現代』(同+12.8%)、
『日立』(同0%)など、
海外メーカーが伸び悩んだのに対し、
『三一重工』(同+72%増)、
『柳工』(同+42%)、
『夏工』(同+71%)など、
国内メーカーは大きく躍進しました。
『三一重工』のパワーショベルは『コマツ』製に比べて
省エネ設計にできており、
1時間あたりの燃料の使用量が少ないのが特徴。
海外メーカーより安価であることも
ユーザーの支持を集めている要因の1つです。
今後の見通しについてはそれほど悲観する必要はないようです。
高級住宅に対する中央政府の規制策の影響で
不動産建設のスローダウンが懸念されるものの、
保障性住宅(政府が低中所得世帯に提供する廉価住宅)
の増加によりトータル的にはイーブン。
大きな需要減少は起きないとされます。
炭鉱設備についても触れておきましょう。
一般的に炭鉱設備の納入は第4四半期がピークとなるため、
関連企業の下半期業績に期待が寄せられます。
現在、中国の石炭採掘企業のオートメーション化比率は
平均70%で、大型炭鉱のそれは90%にも達していますが、
中小炭鉱は約30%と、アメリカの90%以上などと比べ低位に。
今後の拡大余地は大きいとされます。
中国にとって化石燃料である石炭は
依然として最も重要なエネルギー資源であり、
国際石油会社『BP』の作成した統計によると
1次エネルギー消費量の70.6%を占めています。
経済成長や工業化の加速にともなう需要増を反映するように、
その生産量も2000年の6億5700万バレル相当から
09年には15億3700万バレル相当へ急増。
『IEA』の「世界エネルギー展望」よると、
30年まで中国の石炭生産量は
全世界の約50%を占めるとされるため、
関連設備の需要もこれにリンクするかたちで伸びそうです。
(次回に続く)
|