中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第139回
炭鉱設備メーカーの中国最大手『三一重装』

<参考銘柄>

■『三一重装』(00631):
遼寧省の瀋陽市に本拠を置く炭鉱設備メーカーの中国最大手。
炭鉱用ロードヘッダー(岩盤切削機械)や
ショベルカーなどを生産。
販売は100%直接販売の方式を取り、
全国18省に置かれたサービスセンターが
メンテナンスなどのアフターケアを担当。
一部製品はロシア、ウクライナ、
東南アジア諸国に輸出されています。

先に発表された今年の中間決算における純利益は
前年同期比21.5%増の4億1560万元と、
事前予想に届きませんでした。
採鉱ソリューションや総合採鉱設備の売上が伸び悩んだことや、
研究開発費、適用税率のアップが響いたかたちです。
ただ、下記の要素から今後の業績には期待が持たれています。

(1)石炭需要の拡大:
中国の石炭需要の90%は発電プラントからのものだが、
工業生産の持ち直しや家庭需要の増大などを受けて、
電力消費量は右肩上がりに推移しているため、
石炭需要も依然、拡大傾向にある。

(2)2010-15年における炭鉱設備需要の伸びは約20%をキープ:
中国石炭機械工業協会のレポートによると、
石炭生産量のアップにともないその設備需要もここ数年、増加傾向。
その生産総額は03年の104億1080万元から、
08年には579億8820万元へ、年平均22.2%のペースで拡大。
CO2の排出量を2020年までに、国内総生産(GDP)当たり
05年比で最大45%削減するという目標を
政府が発表したことから、
石炭需要が減少するとの見方もあるが、
この目標は絶対量を削減するものではなく、
GDP当りの削減目標であるため、
中国の経済成長が高い数値で続くと実質的には
排出量の削減にはつながらないとの指摘もある。

(3)生産能力の拡充と高レベルの売上高総利益率:
同社は2009年に香港上場を行った際の
調達資金で生産設備を拡充中。
11年末までにロードヘッダー780台、総合採鉱設備55台、
ショベルカー100台の生産体制を整える予定。
また、10年末の売上高総利益率は46.2%に達しているが、
1.製品構成の改善、
2.鋼材など原材料コストの軽減、
3.ハイテク企業認定による優遇税制の適用、などにより、
今後も高いレベルを維持する見通し。

現在の株価は今年の予想PER(株価収益率)で
約20倍の水準にあるため、
安易な追従会などはお勧めしませんが、
上記のように同社の収益を後押しする要因は多々あるのも事実です。


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2011年12月19日(月)

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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